2022 Fiscal Year Research-status Report
腸管恒常性に対するレナラーゼの関与と制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K17822
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
青木 海 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (20914302)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | レナラーゼ / 腸管恒常性 / PMCA4b |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管は体内にありつつも体外と接する興味深い臓器である。そのため、食事や薬剤、有害物などさまざまなものに接触する機会があり、多くのストレスを受ける臓器である。そのため、2022年度は野生型マウスに対して臨床治療や通常環境、疾患罹患時に起きるようなストレスを負荷し、レナラーゼの遺伝子発現とタンパク発現が腸管においてどのように変化するかを検討した。特に今年度は飲酒、抗がん剤治療、炎症性腸疾患を想定し、エタノール(EtOH)投与、ドキソルビシン(Dox)投与、デキストラン硫酸塩(DSS)投与によりモデルを作成、検討した。 EtOH投与後に空腸、回腸、大腸を採取しレナラーゼの遺伝子、タンパク発現を確認したところ、空腸ではタンパク発現が増加傾向にあった。一方、回腸、大腸では両者とも変化がなかった。 Dox投与後に空腸、回腸、大腸を採取しレナラーゼの遺伝子、タンパク発現を確認したところ、空腸では遺伝子発現が有意に低下していた。一方、タンパク発現は有意でないものの遺伝子発現と同様に低下する傾向にあった。回腸、大腸における遺伝子、タンパク発現は変化がなかった。 DSS投与後に空腸、回腸、大腸を採取しレナラーゼの遺伝子、タンパク発現を確認したところ、タンパク発現には有意な差が見られなかったものの、遺伝子発現は大腸で有意に増加していた。同サンプルを用いてレナラーゼの受容体とされるPMCA4bのタンパク発現を確認したところ、有意に増加していた。そのため、炎症が惹起されている時にレナラーゼの効果が増強されている可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している理由は以下の通りである。 ①さまざまな条件下におけるレナラーゼの発現動態の解析を行うことができている。 ②炎症時のレナラーゼ発現が増加する時、受容体であるPMCA4bの発現量も同様に増加することを明らかにできている
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Strategy for Future Research Activity |
現在DSS投与時にレナラーゼと受容体であるPMCA4b発現が高まるということが明らかになっている。そのため、この発現の上昇が炎症の結果上昇したものであるか、生体の防御反応として起きているのかを明らかにするため腸管特異的レナラーゼ欠損マウスを使用して検証していく。加えて細胞モデルでPMCA4bの上昇がレナラーゼの機能には重要であるかも明らかにするためPMCA4b遺伝子欠損細胞の作成も進めていきたい。
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