2023 Fiscal Year Research-status Report
腸管恒常性に対するレナラーゼの関与と制御メカニズムの解明
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22K17822
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
青木 海 東京医科大学, 医学部, 客員研究員 (20914302)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | レナラーゼ / 腸管 / 炎症 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、炎症時の腸管においてレナラーゼの遺伝子発現が増加していることを受け、2023年度はレナラーゼグローバルノックアウトマウスを用いた検討を行なった。当初、腸管特異的ノックアウトマウスを使用する予定であったが繁殖がうまくいかず必要なアレルを持った個体を得ることができなかった。そのため、急遽グローバルノックアウトマウスを用いて検討を行なった。その結果、予想外に腸管における酸化ストレスマーカーはノックアウトマウスで低値を示した。一方で、タイトジャンクションの構成タンパクであるCLDN1のタンパク発現はノックアウトマウスで低下しており、炎症による腸管に対するダメージがレナラーゼが欠損することで増加する可能性が示唆された。酸化ストレスマーカーが低下したにも関わらず、CLDN1が低下していたのは、レナラーゼ以外の代替的な抗酸化経路が代償するものの、抗炎症という点では代償しきれなかった可能性が考えられる。しかし、今回試行することができた例数は4例で、性別も雌性でしか行えなかったため、最終年度はそのような代償経路に視点を当てると共に、例数、性別ともに増やすことでより詳細な解析をおこなっていきたい。 腸管の分化に対するレナラーゼの効果を検討するためにCaco-2細胞の分化モデルを用いて検討を行なった。レナラーゼに対するshRNAで遺伝子発現を抑制したところ、対照群では分化マーカーであるAlpiの発現が4倍ほどに増加するのに対し、shRNA群で2倍ほどまでしか増加しておらず、受容体であるPMCA4bも同様であった。したがって、レナラーゼが腸管の細胞の分化に関与する可能性が考えられた。最終年度ではレナラーゼがどのように腸管の分化に影響を与えていくのかを詳細に検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の現象を捉えることができていることにより、おおむね順調に進展しているといえる。 1.レナラーゼノックアウトマウスで炎症時のタイトジャンクション発現が野生型よりも低下していた。 2.細胞株の腸管分化モデルではレナラーゼのshRNAによる遺伝子発現抑制により分化マーカーの低下や受容体の遺伝子発現レベルが低下していた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度はノックアウトマウスを用いた解析を例数、性別共に増やし、詳細に解析する。加えて、腸管分化モデルの解析ではレナラーゼだけではなく、受容体遺 伝子を抑制した際の影響も詳細に検証していく。
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