2023 Fiscal Year Annual Research Report
食品に含まれる苦味物質による好中球動員亢進を介した生体防御機構増強の解明
Project/Area Number |
22K17823
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小林 大地 新潟大学, 医歯学系, 助教 (50805752)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 苦味受容体 / ケモカイン / 細胞遊走 |
Outline of Annual Research Achievements |
苦味受容体(Tas2R)は口腔内の味蕾細胞などに発現し、口腔内に侵入してきた苦味物質を認識することが知られている。近年の解析から Tas2R が口腔外にも発現することが見出され、その機能的意義が注目されている。先行研究で、申請者はマウス好中球に Tas2R126, Tas2R135, Tas2R143 が発現し、クランベリーなどの食品に含まれる苦味物質であるアルブチンなどが Tas2R126/143 を介して好中球遊走を促進させることを Tas2R126/135/143 トリプル欠損マウス(TKO)を用いた解析から明らかにしている。また、これら分子機構に ROCK の関与を先行研究で見出している。ROCK には2つのアイソフォーム(ROCK1,ROCK2)が知られているが、そのどちらのアイソフォームが好中球遊走促進に関わるか?は明らかではない。また ROCK 上流分子について、ROCK 上流に存在する RhoA の関与を先行研究で検討したが、RhoA の関与は見いだせていない。そこで、RhoA 以外の ROCK 上流分子について、Caspase 並びに、一酸化窒素(NO)の関与を検討した。加えて、アルブチン以外の食品に含まれる苦味物質から好中球遊走促進作用を有する苦味物質の探索を行った。 ROCK2 選択的阻害剤が Tas2R126/143 アゴニストによる好中球遊走促進を ROCK1/2 阻害剤と同程度抑制した。これらのことから、Tas2R126/143 アゴニストによる好中球遊走促進は ROCK2 が寄与することが示唆された。次に、Caspase 阻害剤、NO 合成阻害剤、NO 合成誘導剤を用いて、Tas2R126/143 アゴニストによる好中球遊走促進への影響を検討した。しかし予想に反して、これら阻害剤(誘導剤)では好中球遊走への影響が確認されなかった。また、食品に含まれる複数の苦味物質を用いて、好中球遊走への影響を検討したが、アルブチンのよう好中球遊走を促進させる苦味物質は新規で同定できなかった。
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