2023 Fiscal Year Research-status Report
若年・中年男性における、睡眠負債と睡眠時無呼吸症候群が血圧と臓器障害に及ぼす影響
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22K17829
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 美奈子 九州大学, 医学研究院, 助教 (80912295)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 睡眠時無呼吸症候群 / 血圧 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、若年・中年男性を対象として、睡眠負債・睡眠時無呼吸症候群と血圧・臓器障害の関連を一元的に調べることを目的とした疫学研究である。2023年度は、睡眠時無呼吸症候群と血圧の関連について肥満の有無別に検討し、第45回日本高血圧学会総会で発表、Hypertension Research誌に投稿・採用された。
日本人職域集団において2012年から2018年に健診と簡易PSG検査を受けた従業員2532人を対象とし、酸素飽和度低下指数(3% Oxygen Desaturation Index: 3%ODI)により低3%ODI群(0≦3%ODI<5)、中3%ODI群(5≦3%ODI<15)、高3%ODI群(15≦3%ODI)に分類し、血圧との関連を検討した。 対象の平均年齢は43±11歳(18-68歳)、男性96%、平均Body mass index(BMI)は23.5±3.3 kg/m2、3%ODIの中央値は2.9(四分位範囲 1.3-5.6)であった。低3%ODI群を基準とすると、3%ODIの上昇に伴い、血圧値は有意に上昇し、その関係は性別、年齢、飲酒の有無、喫煙の有無で調整後も変わらなかった。また、高血圧を有するオッズ比も同様に、3%ODIの上昇に伴い有意に上昇した。しかし、さらに肥満(BMI 25 kg/m2以上)の有無で調整すると、その関連は減弱した。そこで肥満の有無別に検討すると、非肥満者のみ3%ODIの上昇に伴い高血圧のオッズ比が有意に増加した。 日本人職域集団において、4%にSRBDが疑われ、特に非肥満者においてSRBDは高血圧と有意に関連した。高血圧診療において、非肥満者においてもSRBDの存在を念頭におく必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、睡眠時無呼吸検診、心臓健診のデータ抽出を終え、データクリーニングの後、統計解析を進めることを研究実施計画とした。
睡眠時無呼吸検診についてはデータクリーニングを終え、定期健診データと統合して、統計解析・学会発表・論文化を進めることができた。
心臓健診についてはデータクリーニングを順調に終え、現在統計解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、睡眠時無呼吸検診と心臓健診のデータクリーニングを完了し、定期健診データと統合して、睡眠時無呼吸検診のデータについては、統計解析・学会発表・論文化を進めることができた。
2024年度は、さらに心臓健診のデータを含めて統計解析を進め、血圧のみならず臓器障害をアウトカムとした疫学的検討を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
2023年度は新規データのクリーニングを進め、データセットの統合、統計解析を進め、学会発表や論文投稿を積極的に行ったが、2022年度にCOVID-19感染拡大の影響でオンライン参加した学会分もあり、旅費等に繰り越しが生じた。また、データクリーニングはクリーニング要員の確保・雇用が難しく、医師らで分担して行ったため、人件費は請求しなかった。
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