2022 Fiscal Year Research-status Report
Control of skeletal muscle function due to myokine secretion during weight loss and target setting of physical activity
Project/Area Number |
22K17842
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
黒瀬 聖司 関西医科大学, 医学部, 講師 (80825951)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マイオカイン / フォリスタチン / マイオスタチン / 骨格筋 / 身体活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満者の減量中に骨格筋機能を維持、増加させることが重要だが、体脂肪量と共に骨格筋量や筋力の減少を経験する。我々は減量中の骨格筋機能にはマイオカインの一つであるマイオスタチン(MST)が関連し、その制御には筋と脂肪組織のクロストークが存在することを明らかにした。一方、マイオカインは体組成の他に、身体活動の影響を受けて分泌動態が変化するが、身体活動の強度や時間等から詳細に検証した研究は少なく、不明な部分が多い。 本年度は、肥満度別(BMI25-34.9、BMI35以上)の骨格筋指標と血清マイオカイン濃度の特徴、および身体機能や身体活動量との関連性を検証した。 肥満外来に通院する肥満者226例を対象に肥満群と高度肥満群に分類し、体組成と身体機能を測定した。マイオカインはMST、フォリスタチン(FST)、イリシン、脳由来神経栄養因子(BDNF)を評価した。高度肥満群の体脂肪量、体脂肪率、骨格筋量、内臓脂肪面積、皮下脂肪面積、インスリン抵抗性、FSTは有意に高値を示したが、骨格筋率、Peak VO2、等速性下肢筋力は有意に低値であった。FSTを従属変数、2群間で有意差を認めた因子を独立変数、性別とBMIを補正因子とするステップワイズ重回帰分析の結果、有意な独立因子はPeak VO2(β=-0.183)のみ抽出された。また、補正因子にMST、イリシン、BDNFを加えたところ、有意な独立因子としてPeak VO2、MST、イリシンが抽出された(各β= -0.186, -0.245, -0.214)。高度肥満者の血清FST濃度は高く、運動耐容能、MST、イリシンとは負に関連した。肥満者のFSTは複合的に骨格筋機能に関与している可能性が示唆され、減量プログラムによる縦断的な変化を検証していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
普通体重者のデータ取得が困難となったが、BMI25以上の肥満者のサンプル数を増やして測定し、約300例の体組成、マイオカイン、身体活動量、運動耐容能の取得ができた。本年度は肥満と高度肥満に分類してマイオカイン(フォリスタチン、マイオスタチン、イリシン、脳由来神経栄養因子)の特徴と規定因子を横断的に解析することができた。現在、論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
普通体重者のデータ取得を予定していた機関での評価が不可となったため、肥満者を合計400例に増やして、肥満度別のマイオカインの特徴を分析する予定である。また、200例を対象に減量プログラムを行い、骨格筋機能、マイオカイン、身体活動量の変化を検討し、骨格筋量の変化を反映する指標の決定と身体活動の影響を検証する予定である。 1.肥満度1-4および性別で分類したマイオカインの比較 2.減量中の身体活動量と運動耐容能の変化によるマイオカイン動態の検証 3.骨格筋機能の変化を反映するマイオカインに対する身体活動量の推奨値を決定
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Causes of Carryover |
普通体重者のマイオカイン測定が不可となり、検査試薬購入費が少なくなった。次年度は健常者の代わりに肥満者の400例を目標にサンプル数を増やし、検査試薬購入費に使用する予定。
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