2022 Fiscal Year Research-status Report
短時間のオンライン軽運動教室が高齢者の脳機能に与える影響
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22K17846
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Research Institution | Physical Fitness Research Institute, Meiji Yasuda Life Foundation of Health and Welfare |
Principal Investigator |
兵頭 和樹 公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所, その他部局等, 研究員(移行) (60782563)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高齢者 / オンライン / 低強度運動 / 軽体操 / 認知機能 / メンタルヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会の中で、身体的・環境的要因から、社会参加や運動の機会が制限される高齢者が多いことが問題となっている。本研究では、オンラインを活用した低強度運動教室が高齢者の認知機能とメンタルヘルスに与える効果を検討し、多くの高齢者が実践・継続可能な脳機能を高めるオンライン運動教室のプログラム開発を目指す。 本年度は、認知機能の正常な自立高齢者を対象に、3ヶ月間自宅でおこなう低強度運動教室がメンタルヘルスや認知機能、脳活動に与える影響を検証した。102名の応募があった高齢者に対して、スクリーニングをおこなったあとに運動群と対照群にランダムに割り付け、運動群は週5回朝20分間、貸し出したタブレット上のWeb会議ツールを使って運動教室に参加した。運動は音楽に合わせた軽体操、スローエアロビックを用いた。3ヶ月間の教室の前後にメンタルヘルスをPOMSとGDSで評価し、認知機能に関しては実行機能(抑制機能、作業記憶、認知の柔軟性)をPCを用いて評価した。さらに、課題中の前頭前野の活動を近赤外光脳機能イメージング装置で測定した。対照群はウェイトコントロールとして3ヶ月間通常の生活を送り、測定後に同様の運動教室を実施した。 結果、対照群と比べて、運動群では抑うつ度(GDS得点)が低下することが明らかとなった。一方、実行機能の課題成績に関しては、両群で変化に差が見られなかった。現在脳活動について解析を勧めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高齢者が自宅でオンラインを活用した運動教室に参加する実現可能性を確認し、効果検証のための3ヶ月間の介入研究(ランダム化比較実験)を実施できたことから、おおむね計画どおりに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、高齢者に対する3ヶ月間、1回20分週5回の軽体操教室は、抑うつ改善の効果は見られたが、実行機能への効果は全体で見ると確認されなかった。今後は、脳活動の解析を進めるとともに、どのような高齢者には効果が強く見られたのかを解析し、ターゲットや介入方法を修正して新たな介入計画を立てる。また、研究を通して、IT機器の操作に弱い高齢者は対面での運動教室を臨んでいることと、講師がオンラインで指導するというメリットも大きいことがわかったことから、集団で講師がオンライン指導をおこなう教室の効果検証も進める。
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Causes of Carryover |
当該年度の研究に関しては、実験に予想していたよりも消耗品費や謝金がかからなかったことや、学会出張などがオンラインでなくなったことから当該年度の助成金の使用がなかった。今後は、新たな介入実験に向けた消耗品、測定機器、参加者や実験協力者への謝金、学会参加費等に使用予定である。
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