2022 Fiscal Year Research-status Report
脳内タンパク質のリン酸化に着目した、加齢で睡眠の質が低下する機序の解明
Project/Area Number |
22K17848
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
辻 将吾 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 ジェロサイエンス研究センター, 研究員 (60825595)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 老化 / 脳 / 睡眠 |
Outline of Annual Research Achievements |
睡眠不足時にリン酸化されるタンパク質のうち、老化によってそのリン酸化が抑制されるものを探索した。若齢および老齢のマウスを明暗 12 時間交代のサイクルで飼育した。マウスが睡眠をとる明期の始まりを起点とし、6時間の断眠を施した群、及び自由に6時間睡眠をとらせた群、それぞれの脳から、視床下部、視床、海馬、小脳、大脳皮質を個別に回収した。まず、これまでの研究から、睡眠と老化の両方の制御に関与することが示唆されている視床下部に着目して解析を行った。回収した視床下部から全タンパク質を抽出し、これを等電点電気泳動とSDS-PAGEによる二次元電気泳動で展開し、タンパク質スポットをリン酸化タンパク質を特異的に染色する蛍光染色により検出した。各群での結果を比較したところ、睡眠状態に依存して量が変化するスポットが多数検出された。また、その変化が老齢マウスでは失われるスポットも複数存在した。現在、このスポット中に含まれるタンパク質を質量分析により同定することを試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、抽出した全タンパク質からリン酸基に結合するPhos-tag磁気ビーズを用いてリン酸化タンパク質を分離、濃縮することを試みたが、視床下部から回収できるタンパク質量では量的に不十分であることがわかった。このため、全タンパク質を用いて二次元電気泳動した後、リン酸化タンパク質特異的な染色を行うことでリン酸化タンパク質を検出する方法に切り替えたため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、睡眠状態に依存して量が変化するリン酸化タンパク質の同定を試みている。同定後は、同定されたタンパク質のリン酸化フォームの特定を行うともに、過剰発現、発現抑制系などを用いて、睡眠制御への関与を検討していく。
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Causes of Carryover |
当初予定していたより研究の進行がやや遅れており、予定していたキナーゼ基質ペプチドマイクロアレイによる解析行えていないため。次年度以降に行う予定である。
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