2022 Fiscal Year Research-status Report
圧縮索引構造を用いた汎用的かつ実用的な多様な解の発見アルゴリズム
Project/Area Number |
22K17851
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
中畑 裕 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (50942067)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 多様性最大化 / 列挙 / 組合せ最適化 / 決定グラフ / ZDD |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では実世界の最適化問題に対し,多様な解を列挙する実用的なアルゴリズムを開発する.最適化問題では通常,アルゴリズムは単一の最適解を出力する.しかし実用上は,モデルに書ききれない曖昧な制約があり,最適解1つでは不十分なことがある.そこで多様な解を列挙できれば有用だが,多くの問題はNP困難であることが知られている.そこで本研究では,大規模な組合せ集合を圧縮して表現できる索引構造を用いて汎用的かつ実用的なアルゴリズムの開発を目指す.本研究の成果は理論と実用のギャップを埋めるという学術的意義に加え,Web検索,推薦 システム,データベースといった幅広い分野での応用が期待される. 本年度は,多様性最大化に対するゼロサプレス型二分決定グラフ(ZDD)を用いた近似手法の検討を行った.解の集合がZDDで表されている場合,線形重み最大の解を見つけることはZDDのサイズに対する線形時間でできる.この性質を用いて,解の集合を表すZDDが与えられたとき,ZDDのサイズに対する多項式時間で動作する多様性最大化に対する制度保証付き近似アルゴリズムを設計した.ZDDのサイズは最悪の場合は入力サイズに対して指数的に大きくなるが,実用的な多くの場合では十分圧縮が効くので,このアプローチは多様性最大化に対する統一的かつ効率的な近似手法になりうると考えている.研究成果について,国内会議および国際会議での発表を検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は多様性最大化に対するZDDを用いた近似手法の設計に成功し,研究計画はおおむね順調に進展している.今後は研究成果の国内会議および研究成果の発表につなげていく.
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Strategy for Future Research Activity |
多様性最大化に対しては,max-sum多様性とmax-min多様性の2つの尺度が主に考えられている.本年度はmax-sum多様性の近似最大化に着目したため,max-min多様性に対する効率良いアルゴリズムも検討する. また,厳密手法の検討も進める.そのためにまず,ZDDが与えられたとき,多様性最大化問題がNP困難であるかを調べる.多様性最大化問題の多くはNP困難であるが,解の集合がZDDで与えられてもNP困難であるかは非自明であるため,この点を理論的に検討する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策のため出張が少なかったため,次年度使用額が生じた.本年度は感染症対策を行いつつ,情報収集や学会発表のため出張を増やしていく.
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