2023 Fiscal Year Research-status Report
臨床試験で測定された経時QOL値データの医療経済評価を目的とした統計解析
Project/Area Number |
22K17858
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
萩原 康博 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (60844040)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | セミパラメトリックモデル / セミパラメトリック理論 / 適合度検定 / スコア検定 / 二値アウトカム / QOL |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に、QOLスコアを二値化したアウトカムを念頭において、二値アウトカムに対するセミパラメトリックモデルの適合度を評価する適合度検定をいくつか開発した。開発検定は、修正Hosmer-Lemeshow検定、Tsiatis検定、正規化Pearsonカイ二乗検定、正規化残差平方和検定である。これらのうち、修正Hosmer-Lemeshow検定と正規化Pearsonカイ二乗検定は、1を超える当てはめ値が存在しうるセミパラメトリックモデルには適さないことを示した。特に二項分散を用いた正規化Pearsonカイ二乗検定統計量の漸近分布は標準的なセミパラメトリック理論からは導出できないことを示した。これらの検定のうち、Tsiatis検定、正規化Pearsonカイ二乗検定、正規化残差平方和検定は、スコア検定をスコア方程式だけではなく推定方程式にもとづく検定に拡張した一般化スコア検定にもとづくものである。 シミュレーション実験を行ったところ、修正Hosmer-Lemeshow検定とTsiatis検定は現実的なサンプルサイズでも第一種の過誤確率が名目水準より増加することがわかった。また修正Hosmer-Lemeshow検定と二項分散を用いた正規化Pearsonカイ二乗検定は、イベント発生割合が小さい対象者から大きい対象者まで存在すると、検出力が低くなることも明らかになった。 開発した適合度検定を健康関連QOL研究データに適用した。その結果、特定のセミパラメトリックモデルの当てはまりが悪いことを示すことができた。このようなことは、これまでの知見では示すことができなかったことである。 これらの研究成果は計量生物学会年会で発表し、現在論文を投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セミパラメトリックモデルの適合度検定の研究を論文投稿するところまで進めることができたため。一方、それ以外の研究は停滞しており、当初の計画以上の進展は見られないため、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでの研究で得られた知見を臨床試験で得られたQOL値の解析に生かすための方法を考える予定である。また欠測データ解析での適合度検定の有用性も検討したい。
|
Causes of Carryover |
海外学会への参加を取りやめたため、旅費が想定よりかからなかった。 シミュレーション実験を行うデスクトップ型パーソナルコンピューターは既存のものを流用でき、新規購入しなかったため、物品費が想定よりかからなかった。
|