2023 Fiscal Year Research-status Report
分位点を推定する多変量解析法に対する非対称ノルムを用いた統一的な表現法
Project/Area Number |
22K17862
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
土田 潤 京都女子大学, データサイエンス学部, 講師 (40828365)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 多次元尺度構成法 / 非対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,非対称ノルムに基づいた誤差関数を最小にする推定量に関する多変量解析手法の開発を行い,その性質について議論する.特に,分位点推定として利用されている分位点ノルムに基づいた誤差関数を利用し,分位点推定に関する議論を行うことを予定している.これらの研究を遂行するために2023年度は分位点ノルムを距離関数とした非対称多次元尺度構成法の開発を行った. (非対称)多次元尺度構成法は,対象間の(非)類似度をもとにした視覚化法のひとつであり,次元縮約法として様々な多変量解析法とかかわりがある.2022年度で開発した非対称多次元尺度構成法のモデルの拡張を行い,テンソルのデータ形式に対して適用できるようにした.アルゴリズムについても,効率的なアルゴリズムの開発を行った. 2023年度で開発した手法は,誤差関数ではなく,対象間の距離として非対称ノルムを用いたときの挙動を確かめている.対象間の距離として分位点ノルムを用いることにより,モデルが「分位点距離」に基づく方法について検討することができるようになった.この成果は,誤差関数ではなく対象間の距離として非対称ノルムを利用したモデルと対象間距離は対称だが誤差関数は非対称ノルムに基づいたときの差異を理解するために重要である.さらに,開発したアルゴリズムは,非対称ノルムに基づいた誤差関数を最小化するためにも利用できる可能性がある.これらの研究成果を,国内学会と国際学会でそれぞれ1件ずつ報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度では,既存の多変量解析法を非対称ノルムにもとづく誤差関数最小化で定式化し,分位点を推定するための推定量とアルゴリズムを構築する予定であった.しかし,本年度では,多次元尺度構成法のみで議論している.さらに,提案法と既存法との関連性についてはまだ十分に議論できていない.この意味では2023年度の進捗は非常に遅れている.しかし,多次元尺度構成法は既存の多変量解析法の枠組みでは,多くの多変量解析法と関連がある.そのため,2023年度で行うための研究について足掛かりは得られていると考える.既存の枠組みと同様の対応関係が明らかになれば,2023年度の目標は達成されると考えらえれる.以上を鑑み,やや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度では,既存の多変量解析法を非対称ノルムにもとづく誤差関数最小化で定式化する.そして,その方法で得られたパラメータが分位点などと関連するについて議論を行っていく.分位点と(多変量)非対称ラプラス分布の期待値と関連があることが知られている.そこで,2024年度では,非対称ラプラス分布の期待値として既存法を考えたときと非対称ノルムに基づく誤差関数最小化に関連があるかを検討していく. これらの成果は,適宜,学会発表や論文投稿を通じ報告していく予定である.
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Causes of Carryover |
差額が生じた理由は,論文誌への掲載をオープンアクセスにするために費用を計上していたが,査読が長引いたため,異なる利用法を検討したがすべてを使用することが困難であったためである.2023年度での差額は,2024年度のオープンアクセス費用や英文の校正費用として計上する予定である.
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Research Products
(4 results)