2023 Fiscal Year Research-status Report
グレブナー基底理論を用いた耐量子計算機暗号の安全性解析と開発
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22K17889
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池松 泰彦 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 助教 (40833570)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 多変数多項式暗号 / グレブナー基底 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、2022年度に得た次の研究結果(i),(ii)を論文としてまとめた: (i)多変数署名方式MAYO, QR-UOVへのRectangular MinRank攻撃の適用とその計算量評価について、(ii)UOV多項式に付随するHilbert級数の研究について。(i)については国際会議IWSEC2023に採録され、(ii)は電子情報通信学会が発行する「暗号と情報セキュリティ小特集」に採録された。その後、(i)についてはRectangular MinRank攻撃の精密な計算量評価が未解決として残っていたが、特定のパラメータ条件においていくつかの代数的仮定をおくことでその計算量を理論的に導出し、実験によって実際の計算量と一致することを確認した。また、NISTのPQC署名方式の追加公募に投稿されている署名方式VOXに対するRectangular MinRank攻撃の解析を行い、VOXが提案したパラメータセットが安全でないことを証明した。またこの攻撃によって、128ビット安全な提案パラメータが3時間以内で解読できることを実験で確認した。VOXに関するこの結果は上記(i)の結果と合わせて論文化し、ジャーナル論文へ投稿中である。さらに、この結果をNISTが行う第5回 NIST PQC Standardization Conferenceに投稿し、2024年4月にアメリカにて発表することが決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
執筆した論文も採録され、上記のように今年度も新たな成果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
全てのパラメータにおけるRectangular MinRank攻撃の精密な計算量評価の導出を行う。また、UOVのHilbert級数を利用した高速なグレブナー基底計算または求解アルゴリズムについて研究する。
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Causes of Carryover |
予定していた本の購入が不要となったため。次年度では別の本の購入を検討する。
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