2023 Fiscal Year Research-status Report
空間解像度の可変化による高精度かつ高効率な粒子法の実現
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22K17901
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松永 拓也 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 講師 (40782941)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 粒子法 / 数値流体解析 / 空間解像度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、粒子法において非一様な空間解像度での数値解析を実現することのできる座標変換を用いた計算手法を新たに開発している。昨年度の研究では、提案アルゴリズムの基本原理となる座標変換を用いた定式化ならびにそれに基づく非圧縮性流れの計算アルゴリズムを作成し、比較的単純な座標変換を用いた内部流れの解析に適用して有効性を検証した。今年度は提案手法の拡張を目的として研究を実施し、以下の成果を得た。境界形状に適合した解像度分布を与えるための拡張として、解像度制御の自由度を向上する座標変換の構築方法を新たに作成した。具体的には、分割した計算領域に対して区分多項式を用いた座標変換を定義することで、分割領域ごとに異なる解像度分布を実現し局所的な解像度制御が可能となる。検証問題として物体まわりの流れや狭まり部を有する流路内の流れ等を対象に局所的に高解像度領域を定義した非一様解像度での粒子法解析を実施したところ、妥当な計算結果が得られたことから有効性が示された。続いて、提案手法を自由表面流れに適用できるようにするため、体積保存性を改善する新たな粒子再配置手法を作成した。粒子法における体積保存は粒子数密度に基づいて位置補正を行うものであるが、非一様解像度では粒子数密度と流体体積の関連性が一様解像度の場合と異なる。そこで座標変換に伴う体積変化を考慮するための粒子数密度補正を定式化し、補正された粒子数密度に基づいて位置補正を計算する手法を作成した。数値検証の結果、解像度変化が大きい場合には粒子分布が大きく歪み、数値不安定性が発生する問題が確認された。これは粒子再配置による位置補正量が不十分であることが原因と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は座標変換の高度化による解像度制御の自由度の向上ならびに自由表面流れ解析への拡張のための研究を実施した。自由表面流れへの拡張では新たに問題点が見つかり未完了であるものの、実施内容はほぼ当初予定の通りに進展している。このことから、おおむね計画通りに研究が進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは自由表面流れ解析における問題点を克服するために粒子再配置手法の改良を実施する。次に、産業応用を見据えた実問題解析を行う予定である。自由表面流れへの拡張にさらに課題が生じた場合には、必要に応じて座標変換の改良を含めた解決策を検討するなど柔軟に進めていきたい。並行して、最新の研究動向の調査と研究成果の発表のために国内講演会や国際会議に参加すると共に、研究成果をとりまとめた論文の執筆を進める。
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Causes of Carryover |
提案手法の拡張に想定以上の研究期間を要したことにより、実問題解析の実施開始が遅れるなどの影響が生じた。これにより残額が生じる結果となった。次年度使用額は当初予定の物品購入に使用するほか、研究計画を加速するための計算機設備の補強ならびにコード開発やデータ可視化等に用いるソフトウェア購入のための費用にあてる。
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