2022 Fiscal Year Research-status Report
ROM for FSI analysis in distributed memory parallel computing
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22K17902
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 栄樹 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (40908802)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 流体構造連成問題 / 有限要素法 / 低次元モデル / 固有直交分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の内容は、分散メモリ型並列環境において効率的な、流体構造連成問題の低次元モデリング手法を考案することである。低次元モデリング手法として代表的なPOD-Galerkin法に焦点を当てているが、今年度は流体構造連成解析のPOD-Galerkin法による低次元化を行った。この手法のプロセスは、データ収集のためのhigh-fidelity解析、データ分析による基底抽出、抽出した基底を利用したreduced-order model解析の三つに分かれる。まず、次元削減の対象となる流体構造連成解析を構築した。FSI解析手法の中でディリクレ―ノイマン型と呼ばれる代表的な分離型解法を採用し、さらに解析精度を高めるために反復解法を使用した。この解析システムは、流体のメッシュ移動、流体解析、そして構造解析という三つのサブソルバを有している。ただし、解空間ではなく、重み関数の関数空間を次元削減することを考えたため、データ収集の際はディリクレ境界条件上の値を0にしてデータを集めることにした。次に、データの分析には特異値分解を用い、低次の左特異ベクトルを基底として用いることにした。そして、その基底を用いて、前述の三つのサブソルバの低次元化を行った。このようにして構築された低次元モデルによる解析は、似たようなパラメータセットであれば低次元化される前の高精度解析と同等の解析結果を返す。これにより、低次元モデリングの実装がうまくできていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始から1から2年の計画は、ROM構築システムの大枠の開発と解析精度の追求であった。MPIによる並列化は済んでいないものの、POD-Galerkin法による低次元モデルを用いた流体構造連成解析システムの構築は完成している。流体構造連成解析における未知変数すべて(流体のメッシュ移動量、流速、圧力、そして構造変位)をサブシステムレベルの低次元解析後、高次元に戻すことで、精緻な値の受け渡しの方法を実現している。これらの点から、研究進捗は順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ROM解析システムを分散メモリ型並列計算に対応させる。POD-Galerkin法は密行列計算が必要となり、その部分の高速化が求められる。そのために、Hyper-reduction法がよく用いられる。中でも、経験にもとづく数値積分(Empirical quadrature method)の導入を進める。また、現在、値の受け渡しは次元削減前の次元に戻して行っているため、高い精度を実現していると考えているが、このプロセスを効率化できないか検討を進める。
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Causes of Carryover |
2022年度はPOD-Galerkin法による流体構造連成解析のROM構築という理論研究を先に行い、並列化実装に着手しなかった。そのため、PCの購入を見送ったため、次年度使用額が生じた。
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