2022 Fiscal Year Research-status Report
無線音響センサネットワークのEnd-to-End最適化による実環境音響シーン分析
Project/Area Number |
22K17915
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
木下 裕磨 東海大学, 情報理工学部, 特任講師 (30913016)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 無線音響センサネットワーク / マイクロフォンアレイ / 深層学習 / End-to-End最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
特殊な無線音響センサである「ブリンキー」に注目し,誤差逆伝播法が利用できる環境における音響シーン分析システムのEnd-to-End最適化の有効性をシミュレーション実験により明らかにした.具体的には,1) ブリンキー信号強度やサンプリングレート変換に対するシステムの頑健性獲得,および2) 信号の一部区間の損失に対するシステムの頑健性獲得に効果があることを確かめた.加えて,無線音響センサの数が音響シーン分析システムの性能にどう影響するかを確認した.通常の無線音響センサネットワークは,マイクロフォンの量子化ビット数を24 bit,サンプリング周波数を48 kHzとすると,マイクロフォン1台あたり約1.2 Mbps もの通信帯域を必要とする.一方,ブリンキーを用いた今回のシミュレーションにおいては,ブリンキー1台あたり240 bps の通信帯域のみしか利用できない状況を想定している.したがって,本研究成果は,通常の無線音響センサネットワークにおける通信帯域を大きく削減できる可能性を示唆するものであるといえる.現在は,これらの結果を国際的な論文誌で発表すべく,準備を進めている最中である. 無線音響センサネットワークには音響センサを容易に設置・移動できる特徴があるが,音響センサの設置や移動,撤去による録音環境の変化は,深層学習モデルの性能低下をもたらす.この課題を解決するために,無線音響センサネットワークのファインチューニングに取り組んでいる.本件については,現在シミュレーション実験用プログラムを開発している途中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度は,研究代表者の異動があり,新たな研究室の立ち上げを行う必要があった.このため,研究環境の整備に多くの時間を要し,本研究課題を遂行するための十分な研究時間の捻出が難しい状況にあった.したがって,初年度は,シミュレーション実験を中心とした検討を行い,実デバイスを用いた検討のための環境整備を進めた.
|
Strategy for Future Research Activity |
無線音響センサネットワークを用いた音響シーン分析システムの検討にあたっては,実際に無線音響センサネットワークを構築して種々の多チャンネル音響信号データセットを整備することが急務である.一方,このデータセット整備においては,時間的に非同期の無線音響センサを同期することが必要とされるが,その方法はまだ確立していない.したがって,当初の計画を変更し,第二年度には,主に非同期の無線音響センサを同期するためのハードウェアデバイスの開発を目指す.同時に,無線音響センサネットワークのファインチューニングについてもシミュレーション実験を進める.
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,新型コロナウイルスのまん延状況を鑑み,現地参加予定であった学会への参加を取りやめたためである.次年度使用額については,無線音響センサデバイスを同期するためのハードウェア開発費用,および研究動向調査のための学会参加費用に充てる.
|