2023 Fiscal Year Research-status Report
視運動性眼振と瞳孔反応を用いた注意シフトの推定に関する基礎研究
Project/Area Number |
22K17928
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
金成 慧 宇都宮大学, 工学部, 助教 (40813770)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 視運動性眼振 / 瞳孔反応 / 視覚的注意 / 頭部運動 / 注意推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
人が対象に視線を向ける前に,注意がその対象に向くことが知られている.この注意がシフトする前兆を推定できれば,車両運転者や注意機能が弱い人のための行動推定・支援に役立つ.本研究課題では,実環境に近い3次元シーンにおいて,頭部運動をした場合,視運動性眼振(OKN)・瞳孔反応から注意シフトを推定できるか明らかにすることを目的とした.前年度では,頭部と視線を固定した条件において,注意を空間的にシフトした位置の対象の運動方向・明るさと対応したOKN・瞳孔反応が生じた.そのため,当該年度では,頭部運動も含めた注意シフトがOKNと瞳孔反応から可能か明らかにすることを目的とした.実験では,運動方向と明るさが異なる2つのランダムドットパターンをディスプレイに呈示した.視線のみを直接シフトする条件,視線と頭部を同時に同じ方向にシフトする条件,注意のみをシフトする条件を行った.参加者がターゲット数字を応答することで,注意を向けていたか確かめた.そして,注意等をシフトしたときの眼球運動・ 瞳孔反応を測定した.その結果,すべてのシフト条件において,空間的にシフトした位置の対象の運動方向・明るさと対応したOKN・瞳孔反応が生じた.また,視線のみ条件と視線・頭部条件との間には,OKN・瞳孔反応の変化量にほとんど差は見られなかったが,注意条件における変化量はそれらと比べて小さかった.これらのことから,OKN・瞳孔反を測定することで,頭部運動を含めた注意シフトを推定できることが示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に予定していた実験を実施し,おおむね期待していた結果が得られた.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は研究計画通り,3次元シーンにおける頭部運動を含めた注意シフトをOKN・瞳孔反応から推定できるか明らかにする.
|
Causes of Carryover |
購入予定であった高精度の視線トラッキングを搭載したXRヘッドセットが日本では未販売であったため,次年度使用額が生じた.次年度はこの製品または代替品を購入することで,頭部運動を含めたより精度の高い注意シフトの推定に関する実験を行う.
|
Research Products
(6 results)