2022 Fiscal Year Research-status Report
User-adaptive spoken dialogue system based on communication accommodation theory
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22K17958
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
河野 誠也 国立研究開発法人理化学研究所, 情報統合本部, 特別研究員 (20909139)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 対話システム / 自然言語生成 / 言い換え / リフレーミング / エントレインメント / アコモデーション理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、人間の生活空間に根差す対話ロボットが人間と共生していくために必要なコミュニケーション調整機能をきめ細やかなレベルから統合的に理解・モデル化し、様々なユーザに対して適応的にコミュニケーション調整を行うことが可能な対話ロボットを構築するための基盤を確立することを目的とする。2022年度は、特に対話における話者間の発話の収束・拡散によるコミュニケーション調整を言語的側面から捕捉するための自動評価指標を単語分散表現の類似度に着目して開発した。開発した自動評価指標を用いた対話分析により、対話における収束・拡散が特定の対話要素(対話者の社会属性や関係性、対話の状況など)に影響されて発生する可能性が示唆された。次に、開発した自動評価指標を用いて対話システムの応答生成候補を発話の収束・発散の観点を考慮して再順付けする手法を開発した。これらの成果を統合した音声対話システムは、人工知能学会SLUD研究会主催の対話システムライブコンペティション5で3位に入賞した。また、次年度以降の研究に利用する言語資源として、円滑なコミュニケーション調整、特に言語的配慮がタスク達成の鍵となる説得対話と言い換えに着目したコーパスを整備した。具体的には、生活習慣改善、寄付行動、ネット依存改善をユーザに促すことを目的としたロボットと人間の対話をWoZ法を用いて収集し、マルチモーダルコーパスとして整備した。また、言い換えについては、ネガティブな事柄をポジティブな事柄に言い換えるようなリフレーミングに基づいた言い換え事例をWeb上から収集し、パラレルコーパスとして整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、2023年度以降の研究を円滑に進めるための基盤として対話の自動評価指標、対話システムの応答再順付け手法、言語資源の整備を実施した。また、本年度の研究成果は、複数の査読付き国際会議論文として発表しており、また、国内研究会やコンペティションで受賞をするなど、総合的に見て順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、まず、2022年度に開発した自動評価指標、応答再順付け手法の高度化に取り組む。より具体的には、対話におけるコミュニケーション調整メカニズムを様々な側面(語彙選択,発話スタイル,韻律)から評価するための統合的評価指標を開発する。また、開発した統合的評価指標を用いた対話分析を通じて対話システムの応答生成の高度化に向けた鍵となる知見を見出す。さらに、2022年度に構築したコーパスのタスクドメインでの被験者実験を通じて、対話システムと人間の対話に特化したコミュニケーション調整戦略のモデル化に必要な知見を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初予定よりも旅費(外国旅費)及びその他についての支出額が大きく、高額物品等の購入を見送ったため。また、人件費については、学会主催のコンペティション参加を通じて被験者の雇用費用を抑えられたため。次年度使用額は、物品購入(計算機)に主に利用する。
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