2023 Fiscal Year Research-status Report
分岐図推定を応用した生態の動的システムのモデリング手法の開発とその予測への応用
Project/Area Number |
22K17970
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
伊藤 佳卓 北海道科学大学, 工学部, 講師 (90849142)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 分岐図推定 / レジームシフト / 系列モデリング / パラメータ空間推定 / ニューラルネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,生態系の動的システムの時系列を予測するための新しいモデリング手法の確立を目指している.具体的には,パラメータが変化する動的システムをモデリングするための分岐図推定を応用し「安定」状態の時系列のみからレジームシフトが 「いつ」起こるかを予測することを試みる.本モデリング手法を実環境に応用可能な形で確立するため,多次元システムへの適用,強いノイズに対するロバスト性,アナログデータを計測したデータへの適用という課題を設定している. 本年度は,本モデリング手法のノイズに対するロバスト性の検証に焦点を当て,本研究に使用している学習アルゴリズムであるリッジ回帰の正則化項の調整とノイズレベルの変化がレジームシフト予測の成功率に与える影響を検証した.その結果,予測の信頼性を判断するための新たな指標として,学習した結合荷重の大きさが有効であることを明らかにした.また,多次元システムへの適用についても検証し,前年度は2次元の数理モデルを扱ったが,本年度は5次元の数理モデルに対してレジームシフト予測を行い,予測が可能であることを明らかにした.さらに,「アナログデータを計測したデータへの適用」に向けてレジームシフトが起こる数理モデルを再現する電子回路の設計とシミュレーションを実施した.回路シミュレータにより設計した回路が数理モデルと同様のレジームシフトを発生することを確認した.そして,回路シミュレータから取得したデータを用いたレジームシフト予測も既に行っており,次年度は実際の回路を作製し,その回路から計測したデータを用いたレジームシフトの予測を試みる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では計画通り,強いノイズ環境下でのモデリング手法のロバスト性を検証した.この検証により,予測成功率や結合荷重の大きさとの間に明確な関係性を示すことができた.これはモデルの予測能力を評価する重要な指標となる.さらに,アナログデータへの適用に向けて対象の数理モデルを再現する電子回路の設計を行なった.この回路を用いたシミュレータから取得したデータに基づくレジームシフト予測の結果は国際会議で発表予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では,設計した回路図に基づき電子回路を作製し,この回路から様々な条件のデータを計測する.さらに,これまでの研究で使用していた非振動型の数理モデルに加え,新たに振動するモデルを考案し,このモデルに対しても電子回路を作製する.そして,これらの電子回路から計測したデータを使用してレジームシフトの予測を試みる.これらの予測により、異なるタイプのダイナミクスを持つ力学系に対して本モデリング手法の適用範囲を広げることができる.これらにより,分岐図推定を基にしたレジームシフト予測が実環境でのデータにも効果的に使用できることを検証する.
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Causes of Carryover |
電子回路にノイズを人為的に付加するために任意波形ジェネレータを購入予定だったが予備実験にてノイズを加えなくても電子回路で十分大きなノイズが発生することが明らかになったため購入を見送っている.次年度に対象の数理モデルの電子回路を作成し実際に計測を行なった上で任意波形ジェネレータを購入するか検討を行う.もし不要と判断できれば,その予算を精度の高い計測機器の購入等に充て研究の質を向上させるなど,研究の進行に必要な機材を適切に確保し本研究が効率的に推進できるように検討を行う.
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Research Products
(2 results)