2022 Fiscal Year Annual Research Report
Bittersweet memories of those days: Neural representations that generate diverse textures of nostalgia
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22K17985
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大場 健太郎 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (90612010)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 懐かしさ / 神経表象 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
一口に「懐かしい」と言ってもその質感は多様である。「あの日あの場所」や「あの頃」という記憶の側面、そして「幸せ」や「ほろ苦い」という感情の側面がこの質感の多様性を生み出していると考えられる。多様な記憶と感情価で構成される質感の異なる懐かしさはどのような脳活動の違いから生じるのだろうか。本研究では懐かしさを構成する1)自伝的記憶の階層(エピソード的自伝的記憶や意味的自伝的記憶)、2)感情価(ポジティブ、ネガティブ)の類似性に着目した機能的MRIデータの多変量解析により、「あの頃の苦くて甘い記憶」などの質感の神経表象の解明に取り組むことを目的とした。 近年認知神経科学において、機能的MRIなどのデータを従来の単変量解析ではなく脳画像のボクセル(脳画像を構成する単位)パターンに着目した多変量解析を用いることにより、ある心理状態に関与する脳領域を明らかにするだけでなく、その脳活動が何を表象しているかの検討を行うことが可能となるパラダイムシフトが起こっている。本研究は、この多ボクセルパターン解析の一種である表象類似度解析(Kriegeskorte et al. 2008)を用いて記憶と感情の両面から懐かしさの質感を生み出す神経表象にアプローチするものであり、両価的感情の脳メカニズム解明にもつながる研究と言える。さらに本研究では機能的MRIにおける情動情報解読技術であるcognitive dynamics estimationの手法を取り入れるために、トレーニングコースに参加するなどして手法の検討を行なった。
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