2022 Fiscal Year Research-status Report
Relief of erectile dysfunction with emotion induced by haptic stimulation
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22K17989
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
本田 功輝 九州大学, 工学研究院, 助教 (70879973)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | タッチ / 触覚 / ハプティクス / 皮膚 / 情動 / 勃起不全症 / 体毛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ストレスや不安といった心理的な要因による勃起不全症の改善手法としてヒトからヒトへのタッチ(触ること)が触られる側に与える心理的影響に着目し,ストレス・不安を低減し勃起不全症の改善を図るデバイスの開発のための基礎研究を行うことである.先行研究により,医療・福祉の分野などでヒトからヒトへのタッチは痛みを緩和することや,ストレスを低減する効果がある可能性が指摘されていた.これを踏まえ本年度は,研究期間の初年度として,ヒトからヒトへのタッチのどのような物理的特性がストレス・不安の低減といった影響をヒトへ与えるのかを解明するための実験装置を製作し,情動の計測を通してヒトへの心理的影響について調べた. 上記の基礎実験装置として安静状態にある実験参加者へ触れる速度,圧力などを調整しつつ実験者の手,あるいはブラシなどの物体による触刺激を与える装置を製作した.この装置を用いて,下記の2点について調べる実験を行った.1. 実験者の手を用いたタッチの刺激を実験参加者の腕の各部へ提示することで,ヒトにどのような心理的状態の変化が生起するか,瞳孔径や脳波などの変化から観察を行った.2. ヒトからヒトへのタッチでは,タッチが皮膚の有毛部へなされるか,無毛部へとなされるかによって生起する心理的状態の変化が異なる可能性がある.ヒトの有毛部,無毛部へ実験者の手または硬さの異なった物体により刺激を与えることで,情動がどのように変化するかを計測した.以上より,実験参加者の前腕へ実験者からタッチを与えることにより,心理的影響として快さが生じることを示唆する情動が生起した.また,この快さは,皮膚の有毛部である前腕部への数cm/s程度のゆっくりとした刺激により生起することが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では初年度中に,安静状態にあるヒトに対し,1. 触れる速度・圧力などを調整した上で実験者からのタッチやブラシなどの物体からの刺激を与える装置の製作,2. ストレス・不安の低減に寄与する刺激時の物理的特性の調査,3. ストレス・不安低減の効果がより顕著にみられる体の被刺激部位の選定までを完了する予定であった.本年度末までに完了しているのは,実験装置の製作であり,物理的特性の調査については成果が出つつある.一方で,被刺激部位はヒトの手掌部・前腕部にとどまり,目的の心理的状態の変化を生起させるに適した体の部位の調査についてはまだ着手できていない.以上の状況により当初の計画よりやや遅れた進み具合であると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では,今年度着手できていなかったヒトのストレス・不安を低減するに適した被刺激部位について調べる.先行研究や本研究での実験により,ヒトの皮膚の有毛部,無毛部への刺激で異なった心理的影響があることが示唆されている.次年度では,この知見を踏まえ,被刺激部位の選定の際に,ヒトの有毛部の中でも比較的体毛の濃い部位と,薄い部位,無毛部を被刺激部位として選定し,それぞれを刺激した際にどのような情動の違いが生起するか調べる.さらに,刺激前にあらかじめ実験参加者にストレス・不安を感じさせるような実験環境下において先述の研究で選定された刺激部位への刺激を実施し,ストレス・不安が低減するかを調べる.
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