2023 Fiscal Year Research-status Report
非接触な生体信号計測を用いた情動の経時的変化の推定
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22K17990
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Research Institution | Toba National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
中古賀 理 鳥羽商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40909173)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 感情 / 眼球運動計測 / 瞳孔 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,不安測定のための客観的指標として瞳孔反応を用いた実験を行った。具体的には,個人の不安レベルがどのような瞳孔反応に表れるかを明らかにするため2つの実験を行った.これらの実験では,情動喚起刺激を用いて不安を誘導する条件(不安誘導)/しない条件(平常誘導)というように条件分けし,その際の瞳孔反応を比較することで,不安レベルがどのような瞳孔反応に表れるか調査した.実験1では,感情誘導中の情動的な音声に対する瞳孔反応を比較した.音声刺激の呈示にはオドボールパラダイムを用い,高頻度なBeep音に対して低頻度なNeutral/Negative音の逸脱に伴う散瞳を比較した.その結果,状態不安が敏感なヒトほど,Negativeな音に対する散瞳振幅が増加した.これは刺激の覚醒度を反映しており,不安時はこの反応が増加することが示唆された.加えて,状態不安が敏感な参加者ほど,情動条件によらない逸脱音に対する散瞳振幅が増加した.これは不安時の驚愕反応の増加を反映していると考えられる.実験2では,感情誘導中の対光反射振幅を比較した.無地の白い画像(高輝度条件/低輝度条件)を呈示することで縮瞳を誘発し,その振幅を比較した.その結果,平常誘導時の状態不安スコアが高い参加者ほど対光反射振幅が大きいことが確認された.実験1同様に不安時の驚愕反応の増加を反映していると考えられ,これは聴覚・視覚といったモダリティによらない現象であることが示唆される.以上の実験結果から,不安レベルが,情動的な刺激に対する瞳孔反応や驚愕反応に伴う瞳孔反応に表れることが確認でき,これらの瞳孔反応を用いることでヒトの不安レベルを推定可能であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
瞳孔反応に関する実験は行ったものの、サーモグラフィカメラを用いた顔面皮膚温の計測実験は行っておらず、進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書の研究計画にそって、引き続き、瞳孔反応・顔面皮膚温計測を用いてプローブ刺激法による感情推定手法を確立するための実験を行う。本研究で得られた知見を投稿論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
予定よりも研究の進捗状況が遅れており、それに伴って必要経費も計上されなかったため。
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