2023 Fiscal Year Annual Research Report
脂質膜を貫通した疎水化DNAの自己集合による人工ナノポア構築の新手法
Project/Area Number |
22K17991
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 佑介 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (60830560)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | DNAナノテクノロジー / 自己集合 / 分子ロボティクス / 人工細胞 / リポソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
脂質二分子膜小胞(リポソーム)の膜に対し,疎水分子を修飾したDNAを貫通させナノポアを形成する新手法に関して研究を実施した.前年度までの成果で,環状に自己集合可能なユニット構造の設計が完了し,実際にそれらが膜貫通することを確認していた.本年度は,自己集合を開始させるためのシグナル応答性についてと,設計したユニット構造が自己集合によりナノポアとしての機能を示すことができるかについての2点について重点的に評価を行った. まずシグナル応答性について,特定の核酸分子をシグナルとして認識し自己集合を開始するための設計の最適化を行なった.足がかり配列を介した鎖交換反応を基本設計とし,足がかり配列の位置や配列の種類など4パターンを比較検討し,最適な設計を明らかにすることができた. ナノポア機能の評価について,本設計ではナノポアを構成するユニットは合計6種類存在する.実験では,5種類のユニットのみをリポソーム液に加えた条件,6種類のユニットを事前に自己集合させてからリポソーム液に加えた条件,そして,6種類のユニットを順番にリポソーム膜に配置し,膜貫通した状態で自己集合可能な条件,の3種類を比較検討した.リポソーム内部には,DNAナノポアを通過可能な蛍光分子と通過しづらい蛍光分子それぞれを内包し,リポソーム内部の蛍光分子の漏れ出しを観察することで,ナノポア機能の評価を行った.実験結果から,本研究で設計したユニットが,膜貫通状態で自己集合しナノポアを形成したことが示唆された.
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