2022 Fiscal Year Research-status Report
Theory for the directed evolution of adeno-associated viruses
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22K17994
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
根本 孝裕 大阪大学, ヒューマン・メタバース疾患研究拠点, 特任准教授(常勤) (10928295)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 指向性進化法 / 次世代シークエンシング / 負の二項分布 / データ解析パイプライン |
Outline of Annual Research Achievements |
指向性進化法は2018年のノーベル化学賞の対象ともなったタンパク質開発手法である。この手法では、DNAの塩基配列をランダムに変えた変異種を多数用意し、その変異種全体を目的のタスクに合わせて繰り返しスクリーニングする。その結果ランダムな変異種の中から、目的のタスクに最適化された変異種が濃縮され、最終的に同定される。ここで、出来るだけ少ないスクリーニング回数による最適化変異種の同定が重要になるが、最近、スクリーニング回数を減らす目的で指向性進化法実験に次世代シークエンシングを取り入れる動きが見られる。しかし問題になるのが次世代シークエンシング、特にPCRによるlibrary準備に付随したノイズである。本研究計画では、このノイズを上手く制御するデータ解析ツールの開発を目標とする。2022年度は、まず基礎となるパイプライン、ACIDES (Accurate Confidence Intervals for Directed Evolution Scores)を構築した。次に人工的データ生成の枠組みを開発し、それを用いて、ACIDESの正当性、及び有効性を定量的に評価した。さらに、共同研究者による指向性進化法の実験データ、及び既に公開されている他の実験データに対してACIDESを適用し、結果を議論した。これらの成果は論文としてまとめられ、現在論文誌に投稿中であり、またプレプリントとしても公開されている。最後に、これらの結果はスコットランドのエディンバラで行われたESGCT (European Society of Gene and Cell Therapy)主催の遺伝子治療国際学会でも発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
データ解析パイプライン(申請書中で「推定アルゴリズム」と記述したもの)の内容を論文としてまとめるのは、研究計画の3年目の予定だった。その理由として、共同研究者の実験結果とデータ解析パイプラインの内容を一つの論文にまとめたかったことが挙げられる。しかし、既存の手法と比較した際の我々のデータ解析パイプライン(ACIDES)の効率が予想以上に高かったため、急遽手法のみの論文を発表することになった。論文は既に書き上がり、査読付き論文誌に投稿され、またプレプリントとして公開もされている。これらのことから、研究は当初の計画以上に発展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書に記載した2年目の研究計画では、データ解析パイプラインを様々な指向性進化法データに適用し、共同研究者の行う実験へのフィードバックを行う予定であった。実際に我々のACIDESを彼らの実験に適用した結果は既に得られている。従ってそれをもとに共同研究者との議論を深めていきたい。それとは別に、3年目に予定されていたACIDESの対外発信も並行して進めて行きたい。現在ACIDESをまとめた論文を論文誌に投稿中であるが、それが受理されれば、ACIDESのsoftwareを開発し公開する予定である。それらを様々な研究機関にて発表し、広めて行きたい。最後に、研究代表者は2023年から大阪大学PRIMeに異動となるので、異動先の研究者とも共同研究の可能性を探って行きたい。
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