2022 Fiscal Year Research-status Report
ラマン散乱光イメージングによる1細胞遺伝子発現推定
Project/Area Number |
22K18000
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
佐々木 健介 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (90872862)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ラマン散乱 / 遺伝子発現 / 細胞 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞のラマン散乱スペクトル(RS)は、細胞の種類や状態を非破壊・非染色で判別するための光計測手法として注目されている。細胞種や細胞状態は遺伝子発現パターンと関連するため、RSを利用すれば遺伝子発現パターンを推定できると期待される。本研究では、RS計測した細胞を回収し1細胞RNA-seqを行うことで、RSから遺伝子発現パターンを推定するための概念実証を行う。この目的のためには大量データを収集できる実験プラットフォームが好ましい。本年度は実験装置の構築・改良と、RS計測およびscRNA-seqの予備実験を行った。ラマン散乱顕微鏡には1細胞回収ロボットが備わっており、計測→回収が1クリック達成される。細胞当たり2分弱、約85%の成功率でRS計測と細胞回収が可能である。回収した細胞はRS計測後10秒以内に溶解されるため、計測後の遺伝子発現変化は無視できる。これを用いてヒトiPS細胞(iPSC)および、iPSCから分化した神経系細胞(iPS-NC)のRSを計測し、機械学習を用いて細胞種の判別をおこなった。iPSCとiPS-NCは98%の精度で判別可能であったことから、RSで細胞種を識別できることが実証された。iPS-NCではpeak間の相関が弱くなる傾向がみられたことから、iPS-NCは不均質な集団であることが示唆された。免疫細胞染色の結果、約45%はNestin陽性の神経前駆細胞、約35%はTuj1陽性の神経細胞であった。細胞種間およびiPS-NC群での不均質性は本概念実証においては好ましい。iPSCとiPS-NCを利用する妥当性が示された。回収した細胞の一部からscRNA-Seq用illumina libraryの合成とクオリティーチェックを行い、実験システムが機能していることを確認した。 本成果はレーザー学会第566回研究会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、年度内にscRNA-seqの1部が終了している予定であったが、顕微鏡レーザーの経年劣化により、再構築が余儀なくされた。検証データの収集を行ったため、3か月程度当初予定より遅れている。一方、再構築に伴って装置の改良を行い、よりスムーズにデータ収集できる環境となっている。上記遅れは挽回できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
構築・改良した装置を用いて順次データ収集を行う。RSデータ収集に約2か月、scRNA-seqに約4か月を要する見込みである。RSと遺伝子発現パターンの関係を表す潜在空間を機械学習によって探索し、遺伝子発現を予測可能な学習モデルの開発を目指す。当初、ラマン散乱スペクトルイメージングを想定していたが、イメージングには10倍以上の時間を要するため、スペクトルデータを用いた研究に方向転換する。
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Causes of Carryover |
レーザーの経年劣化により、顕微鏡再構築が余儀なくされた。検証データの収集で3か月程度当初予定より遅れているため、予定していたscRNA-seqが出来ていない。次年度行う予定である。
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Research Products
(1 results)