2022 Fiscal Year Research-status Report
森林生態系における硫化カルボニルの動態に基づいた総一次生産の評価
Project/Area Number |
22K18028
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
亀崎 和輝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (00910142)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 総一次生産 / 硫化カルボニル / 二酸化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
硫化カルボニル(COS)は二酸化炭素(CO2)固定量(総一次生産: GPP)の間接的な指標として 注目されている。しかし、COSを用いた総一次生産の見積もりは過大評価であることが問題 である。この原因の1つは森林全体のCOS吸収フラックスにおける植物の寄与率が定量でき ていないことにある。そこで、本研究では、土壌・葉群チャンバー実験、気象観測タワーを 用いた実験が可能な岐阜県高山の森林サイト(高山試験地)において、最先端のCOS濃度と COS同位体比の測定法を適用することで、土壌と植物の寄与を区別し、植物によるCOS吸収 の寄与率を定量することを目的とする。 昨年度は、COS濃度測定装置の立ち上げを行った他、COS同位体比分析のための装置開発を行った。COS濃度は産総研西事業所での観測、つくば市内での観測、高山試験地での観測を実施した。高山試験地の結果では季節によって明確にCOS濃度が異なることが明らかになった。また、つくば市内の測定では、沼に近いほどCOS濃度が上がり、山に近いほどCOS濃度が低くなる結果となった。つくば市内の測定データに部分的に不備があったため、現在こちらのデータは解析中である。COS同位体比については、試料の濃縮装置・精製装置を開発し、つくばで試料を採取を行った。精製装置の準備が整い次第、2023年度に分析予定である。濃度分析の結果については、国内の学会で発表を行い、論文として投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画に比べてCOS濃度測定装置の立ち上げに時間がかかった。原因は、購入したCOS濃度測定装置をそのまま使用するだけでは、COS濃度を分析することができなかったため、水や温度の影響評価を行う必要があった他、ソフトウェア上にも問題がありプログラムの書き換えが必要になったためである。しかし、昨年度中にCOS濃度測定装置の立ち上げをおおよそ終えることができ、今年度から本格的に測定を行ことが可能となっている。COSの同位体比分析については計画通り立ち上げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、開発した装置群を用いて、つくばでのCOS濃度および同位体比観測を行う他、高山試験地でチャンバー実験を実施する。得られた結果を国内外の学会で発表することや、論文として報告することを目指す。
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