2022 Fiscal Year Research-status Report
物質循環研究を支えるための環境微生物機能データベースの構築
Project/Area Number |
22K18029
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
美世 一守 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 産総研特別研究員 (60930451)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 土壌微生物群集 / メタアナリシス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、土壌微生物の再利用可能な群集構造データを集中的に収集した。土壌微生物学分野の基礎研究もしくはフィールド研究をカバーする専門誌(Soil Biology and Biochemistry, Applied Soil Ecology, Biology and Fertility of Soils 等)から、本研究のメタアナリシスに用いることが可能と思われる微生物群集構造データ(主に16S rRNA amplicon sequencingのデータ)を100件以上収集することができた。土壌微生物分野の論文は世界的に激増しているうえ、上記のような有名専門誌の論文掲載数も増加傾向にある。そのため、使用可能なデータは想定以上に多数あつめることができた。他方で、必要なメタデータの欠落したデータ、メタデータと論文の記述が整合しないデータが非常に多いことが判明し、対応策(情報収集を効率的に行うための優先順位づけなど)を検討している。シーケンシングの品質についても疑わしいものが少なくなく、データ解析段階での手当(品質の良い配列、もしくは部分配列のみをより抜いて解析するなど)が可能かどうかを検討している。 さらに、PCRバイアスの影響を受けない土壌ショットガンメタゲノムデータの収集と解析も実施し、16S rRNA遺伝子の配列を抽出した。こちらも、必要なメタデータの欠落したデータ、メタデータと論文の記述が整合しないデータ、低品質なシーケンシングデータが存在したほか、コンタミネーションと思われる配列も高頻度に観測された。 公共データベース中のデータでは不足するデータについては、自ら実験をおこないデータ収集をおこなう必要がある。今年度は、素材となる土壌サンプルを大量に入手し、ふるいがけ・基礎的な理化学性測定など、実験のための下準備を終えた。培養実験も一部実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り、文献情報収集で集まったデータの量は当初想定よりも多かった一方、十分に品質が高く、必要なメタデータも備えているものは必ずしも多くなかった。実質的に得られたデータの量は、当初予定していたのと同程度であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
文献情報収集は継続して実施する。なお、上記のような事情を考慮し、より効率的に高品質なデータを収集することを目指す。当面は、特にData paperの調査に注力したい。Data paperでは、査読の際、Data availabilityやデータ自体の品質が特に厳格に審査されるためである(この点に関する議論として、 Gilbert et al. (2023) mSystems 8(1):e01271-22)。また、土壌培養実験による自前でのデータ取得に着手するほか、微生物ゲノムの系統解析も行う。
|
Causes of Carryover |
土壌DNA分析、スーパーコンピュータによるデータ解析などが次年度以降に一部ずれ込んだため。
|