2022 Fiscal Year Research-status Report
部分硝化-アナモックスからのN2Oを抑制するガス透過膜利用新規プロセスの開発
Project/Area Number |
22K18044
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
末永 俊和 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (80828377)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 部分硝化ーアナモックス / 亜酸化窒素 / 排水処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
省コスト・省エネルギー型排水処理システムとして注目される部分硝化-嫌気性アンモニア酸化(Partial Nitritation & Anammox)プロセスにおいて亜酸化窒素(N2O)の蓄積が報告されている。本研究の目的は、部分硝化ーアナモックスプロセスからのN2O放出抑制技術としてガス透過膜 の利用可能性の検討である。本提案では、硝化過程でのN2Oの生成抑制と、アナモックス過程で生成するN2Oの回収、無害化という3段階でのガス透過膜の適用を検討し、その効果を評価する。さらに、各過程にガス透過膜を適用することで形成されるユニークな微生物叢を解析し、提案プロセスでのN2O削減メカニズムの解明に繋げる。 一年目は、部分硝化槽へのガス透過膜導入によるN2O削減効果の検証として、無機排水を処理する部分硝化槽にガス透過膜を導入した際のN2Oの放出量を評価するためのリアクターを作成した。中空糸ガス透過膜モジュールを導入した連続槽型リアクター(約2 L)を新たに作成し、発生するN2Oをガス透過膜モジュール出口空気と、リアクター流出水でモニタリン グし、硝化されたNH4+当たりのN2Oへの転換率を算出を試みた。硝化細菌が優占下した環境下では、中空糸ガス透過膜モジュールを導入したリアクターの方がN2O転換率が低い傾向が見られた。一方で、硝化活性自体が低く、中空糸ガス透過膜導入系のポテンシャルを発揮出来ていない可能性が考えられたため、今後十分な硝化活性が見られる環境下での評価を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、評価対象としての部分硝化ーアナモックスリアクターを一年目で製作・運転を開始し、N2Oの生成量の評価を行った。より確度の高いデータを得るために2年目でも引き続き評価を継続した上で、溶存N2Oの回収・無害化プロセスに関する検討を既に開始している。よって概ね当初の計画に則って研究が遂行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
部分硝化ーアナモックスプロセスに中空糸ガス透過膜プロセスを導入した系におけるN2O放出量の評価に関して、より確度の高いデータを得るために2年目でも引き続きリアクターの運転の継続と評価を行う。また、アナモックスプロセスの処理水に溶存すると想定される溶存N2Oの回収と無害化プロセスに関しても、検討を開始している。 最終的に、これらの要素技術が一連のプロセスとして繋がるかどうか、評価する予定である。
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Causes of Carryover |
当初支出を計画していた学会参加の為の旅費に関して、一件はオンラインでの発表のため旅費が発生せず、もう一件は校費での支出となったため最終的に次年度使用額が生じた。次年度の物品費、もしくは最終的な成果発表のための来年3月頃に開催される学会参加の旅費として次年度使用額を執行予定である。
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