2022 Fiscal Year Research-status Report
消費者の需要を考慮した製品の長期使用を促進する経済システムの持続可能性評価
Project/Area Number |
22K18060
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
西嶋 大輔 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (00827959)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | サーキュラーエコノミー / 耐久消費財 / 修理サービス / 持続可能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては、研究目的の1つである修理サービス実施による製品寿命延長の年数に応じた消費者の修理サービスに対する支払意思額を推計するために、その推計に必要なデータを取得するためのアンケート調査の調査票の作成や調査設計の検討を行った。調査票の設計については、仮想評価法の二項選択形式に基づく支払意思額の推定を行うため、その推定に必要となる属性の設定について、本研究の対象である冷蔵庫とエアコンに関して検討を行った。具体的には、まず修理費用については、各メーカーがwebページ等で示している修理費用の目安に関する情報を基に、中央値などの記述統計量を算出したうえで修理費用の値の設定を検討した。修理による製品寿命延長の年数については、先行研究での各製品の平均寿命のデータ等を基に、その平均寿命に対する延長年数の割合などの観点から検討した。また、各家電量販店での延長保証の年数を参照し、保証が受けられると考えられる使用年数が5年以下の製品を保有する消費者については、対象外とすることも検討した。前述した項目以外においても、どのようなシナリオを回答者に想定してもらうかやそのシナリオの伝達方法など、各種考えられるバイアスをどのように小さくするかも加味しながら設問票の作成を進め、最終的には設問票の第一案の作成が完了した。成果という観点でははまだ十分なものは得られてないが、それを得るための準備を最低限進められたという点では、今年度の実績は意義があるものと考える。今後は、調査票の精査や調査設計は慎重に行うことも加味しつつ、プレ調査及び本調査をできるだけ早急に行っていきたいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アンケート調査で用いる設問票の第一案が完成したという点では、当初の計画の最低限の目標は達成していると考える。しかし、アンケート調査の結果を基に今後の分析や推計を行うこともあり、その調査票の作成は慎重に取り組む必要があるという点があったものの、今年度内でのプレ調査の実施は達成できなかった。これは概要で示した各属性の設定に関する検討に想定よりも時間を要してしまったためと考えている。この点を踏まえると順調に進んでいるとまでは言えないと考えたため、当該の進捗状況の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後については、まず調査票の精査等を、実際の修理業者の方へのヒアリングや価値評価の専門家との打ち合わせを行いながら進めていく。その後プレ調査を行い、作成した設問票の妥当性や修正を行った後、本調査を行いデータの収集を行う。収集したデータを基に、修理に対する支払意思額を修理による製品寿命延長の年数に応じて推計するとともに、その支払意思額に影響を与える要因についても分析を行っていく。また、得られた支払意思額の結果を、修理サービスの経済面・環境面での持続可能性の評価にどのように適用するかについても議論を進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由としては、アンケート調査におけるプレ調査の実施ができなかったためである。次年度においては、アンケート調査のプレ調査と本調査の実施、およびその成果報告等に使用する予定である。
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