2023 Fiscal Year Research-status Report
保全体制の構築に向けたタンザニアにおけるヒョウと人間の関係の変容に関する研究
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22K18092
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
仲澤 伸子 椙山女学園大学, 人間関係学部, 研究員 (80899998)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アフリカヒョウ / 赤外線センサーカメラ / タンザニア / 食性 / 活動パターン |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は5月から6月にかけてタンザニア連合共和国に渡航し、マハレ山塊国立公園(以下、マハレ)で野外調査をおこなうとともに、タンザニア野生動物研究所で研究に関する相談をした。 今回の調査の目的のひとつめは、マハレの国立公園境界におけるヒョウの生態調査である。そこで、マハレの境界付近において、動物の痕跡調査をおこなうとともに、赤外線センサーカメラを設置した。動物の痕跡調査では、今までに調査をおこなってきたカソジェ地域では見つからなかった大型の動物の痕跡が多数見つかった。今回設置した赤外線センサーカメラのデータは次回渡航時に回収して持ち帰り、日本で分析する予定である。 ふたつめの目的は、マハレに隣接する村々での、人間とヒョウをはじめとする動物の関係の解明である。そこで、国立公園の境界近くに居住している人々を訪れ、野生動物の目撃情報や獣害の有無、国立公園との軋轢などに関する聞き取り調査をおこなった。 みっつめの目的は、タンザニアでの無人航空機(ドローン)の飛行許可取得およびDNA分析のための情報収集である。そこで、アルーシャ州にあるタンザニア野生動物研究所を訪れ、研究の進捗について報告をおこなうとともに、ドローンの飛行許可の取得方法や取得のためのプロセス、タンザニア国内でDNA分析ができる研究機関の有無などについて相談した。今後ドローンの飛行許可を取得できれば、村周辺の土地利用様式を明らかにすることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年~2022年にかけて、日本人研究者が現地調査に行けない状況が続いた。また、その間タンザニアでは調査許可の取得にかかるプロセスが大幅に変更され、ほとんどがオンラインで可能になったものの、現地機関でもまだ混乱した状況であったことから、2022年度の調査では現地調査期間の半分ほどを調査許可取得に費やしたため、想定よりもマハレでの調査をすすめることができなかった。2023年度もこの遅れを取り戻すまでには至らなかったため、野外調査の進捗状況としては、当初の想定よりも遅れていると言わざるを得ない。 しかし、その一方で今回はマハレの境界に赤外線センサーカメラを設置することができたため、次回渡航時にはデータ回収が可能である。また、カメラ設置時には、カソジェで見たことのない動物の痕跡を多数見つけることができた。こうした情報は今後調査をすすめていくうえで極めて重要である。さらに、村では様々な人々から話を聞くことができた。また、ドローンの飛行許可やタンザニア国内でのDNA分析について、次回渡航時までの許可取得に向けて有益な話し合いができた。そのため、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、タンザニアでの野外調査に関する調査許可証と、在留許可証を取得する。そのうえで、現地での無人航空機(ドローン)の飛行許可を取得する。許可を取得し、準備が整い次第、タンザニアに渡航する。 現地調査ではまず、2023年度に設置した赤外線センサーカメラに撮影された動物種やヒョウ個体を確認する。さらに、カメラの周囲でヒョウの糞を収集する。ヒョウの糞に含まれる獲物の骨や毛を同定することで、ヒョウの食性を明らかにするだけでなく、そのカメラ地点を利用しうる動物種を明らかにすることができる。これらの結果や、カメラ周辺に残された動物の足跡や糞といった痕跡から、各カメラ地点を利用しうる動物種やヒョウ個体を特定するとともに、ヒョウの食性を明らかにする。また、調査に適した地域を選定し、赤外線センサーカメラを追加で設置する。赤外線センサーカメラは現地調査助手と協力してメンテナンスをおこなう。 加えて、住居や畑の分布を明らかにするために、無人航空機(ドローン)を飛ばし、境界周辺の写真を撮影する。さらに、国立公園の境界の近くに住む人々に野生動物の目撃情報や獣害の有無に関する聞き取り調査をおこなう。帰国後に得られた結果を分析し、国際学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
2023年度は妊娠・出産に伴い、7月以降の国内外での野外調査および学会参加をキャンセルしたため、次年度使用額が生じた。 生じた次年度使用額は、赤外線自動撮影カメラを使用するための単三電池11万円分(4本で3680円×30セット)とSDカード12万円分(5990円×20枚)の購入にあてる予定である。
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