瀬戸内海の在郷に暮らすフィリピン人結婚移民の保健行動に関する医療人類学的研究

2022 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 22K18093
• Research Institution: Ehime Prefectural University of Health Science
• Principal Investigator: 尾上 智子 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 講師 (80734772)
• Project Period (FY): 2022-04-01 – 2026-03-31
• Keywords: 聞きとり調査 / 参与観察

Outline of Annual Research Achievements

令和4年度の研究成果は次の3つである。①愛媛県内のフィリピン人結婚移民の中心的な存在となる人々との関係の構築、②フィリピン人結婚移民の人々への聞き取り調査とフィリピン人コミュニティにおける参与観察の実施、③移民研究者との面談。
①については、愛媛県に長年に亘って居住し、フィリピン人結婚移民のリーダー的存在と考えられる方々にコンタクトをとり、交流を図った。また、県内で長年暮らしているフィリピン人結婚移民に関する情報が得られたことにより、彼らのネットワークの大枠を掴むことが可能となった。
また、①により交流が始まった人々に対して、聞きとり調査を実施した。令和4年度は、本研究課題に関わる項目のうち、家族構成・経歴等を含むライフヒストリー、日本における生活経験について聞きとりを行った。病歴や病気などへの対処法、健康の維持増進のための実践などについて次年度以降も継続して聞きとりを実施する予定である。さらに、本研究への着手の契機となったフィリピン人結婚移民の方と数年ぶりに交流を再開し、数回の聞きとり調査、およびフィリピン人コミュニティの集まりにおける参与観察を実施した。聞きとりの内容は、近況報告、家族構成・経歴等を含むライフヒストリー、日本における生活経験であり、病歴や病気などへの対処法、健康の維持増進のための実践などについては、次年度以降に交流を深めながら聞きとりを実施したい。
①および②を遂行する傍ら、移民研究者とオンラインで面談を実施した。長年に亘って在日フィリピン人研究を継続しておられる研究者から、本研究調査に関わる助言や貴重な情報を得ることができた。次年度以降も研究調査を継続しながら、適宜、移民研究者や文化人類学者との面談を行い、調査や分析における助言をいただく予定である。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

令和4年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や研究代表者の所属機関による研究倫理審査の承認に時間を要したため、調査への着手がやや出遅れた。しかし、調査開始後は、フィリピン人結婚移民の方々とのコンタクトや交流をスムーズに進めることができた。

Strategy for Future Research Activity

令和4年度に交流が始まったフィリピン人結婚移民の方々からの紹介により、次年度以降も愛媛県内各地のフィリピン人結婚移民の方々に聞きとり調査を実施する予定である。また、すでに聞きとり調査を行っている方々とも継続的に交流し、交友を深めるとともに、本研究課題の中心的な項目に関する聞きとりを行う。

Causes of Carryover

新型コロナウイルス感染症の感染拡大や研究代表者の所属機関による研究倫理審査に時間を要したことにより、当該年度前半は聞きとり調査を進めることが困難であったことから、聞きとり調査に要する旅費の支出が予定より少なくなった。この分は、次年度の聞きとり調査の旅費として支出の予定である。