2022 Fiscal Year Research-status Report
東アジア農村における日常生活のなかの近代化と冷戦 原水爆禁止運動と家電に着目して
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22K18123
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩島 史 京都大学, 経済学研究科, 講師 (30745245)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 農協婦人部 / 家電 / 国際協同組合連盟 / 戦後日本農村 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は農村の女性たちの日常 生活のなかで、どのように冷戦が経験されていたのか、1950年代から80年代にかけて農協婦 人部によって展開された原水爆禁止運動と60年代に著しく進んだ家庭電化に注目して明らか にすることを目的としている。本年度は、研究実施計画に基づき、家電製品の普及と新たな共同性に着目した。日本の農村でTVに次いで最も早くに普及した家電である 洗濯機は、農業協同組合の販売活動や女性グループによる共同購入と密接に関連していた。農協婦人部の全国大会資料や活動事例集、農業協同組合の雑誌『協同組合』、当該期間の農村で最も普及していた家庭向け雑誌『家の光』の収集と通覧を行った。以上の調査からは、電機企業の販売戦略や洗濯機に必要不可欠な石鹸の販売について農協の果たした役割、家電や石鹸の「広告」「PR」という手法について国際協同組合連盟から影響を受けていたこと、また農協婦人部が冷戦下で中国やソ連に役員を派遣し、の国際的な交流を行っていたことについて情報を収集した。本年度の研究から明らかになった点は、国内の複数の研究会・セミナーで報告し、有意義なディスカッションを行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に基づいて研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の資料調査を踏まえ、家電製品の普及を協同組合運動との関わりで明らかにするための調査を継続することと合わせて、農協婦人部が関わってきた原水爆禁止運動や映画上映運動に関する資料調査を進め、必要に応じてフィールドワークを行う準備もすすめる。
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Causes of Carryover |
本年度2月もしくは3月にハワイ大学において資料調査を行う予定で前倒し請求を行ったが、国内で確認しておきたい資料の状況など、研究の進捗状況のため、次年度(2023年夏)に延期するほうが良いと判断したため。
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