2022 Fiscal Year Research-status Report
新方式波長分解分析法に基づく片側読み出し型光ファイバ放射線位置検出器の実現
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22K18129
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
寺阪 祐太 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島研究開発拠点 廃炉環境国際共同研究センター, 研究職 (60831948)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プラスチックシンチレーションファイバ / 波長分解 / アンフォールディング / 放射線分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
片側読み出し・超高線量率対応を可能とした新方式波長分解分析型光ファイバ放射線位置検出器について、福島第一原子力発電所(1F)廃炉作業環境への適用を見据えた検出器の設計・製作、製作した検出器のガンマ線照射場における性能評価、1F原子炉建屋における放射線分布測定試験を実施した。センサ部にプラスチックシンチレーションファイバ、光伝送部に石英光ファイバ、受光部にポータブル分光器の3要素から構成される放射線位置検出器を製作した。この検出器は、PSF発光を石英光ファイバを介して分光器へ伝送し、波長スペクトルを測定する。ここで、予めUV光源を用いて取得した発光位置毎の応答スペクトルを用いてアンフォールディング処理を施すことにより、PSFに沿って放射線分布を逆推定する。製作した検出器について137Csおよび60Coガンマ線照射場において照射試験を実施し、検出感度および耐放射線性の確認を行った。その結果、数十mSv/h以上の線量率に対して十分な感度を有すること、最大で10 Sv/h以上の放射線場に適用可能であることを確認した。さらに、1F2号機原子炉建屋SGTS室内にて放射線分布測定試験を実施した。SGTS室内の高線量率エリア床面(最大線量率100 mSv/h超)にPSFを敷設し、石英光ファイバを介して室外の低線量率エリアに設置した分光器で波長スペクトルを測定した。得られた波長スペクトルのアンフォールディング処理の結果、光ファイバ終端側にかけて線量率が上がっていくという実際の放射線分布傾向を再現した。このことから、最大で100 mSv/h超の1F原子炉建屋実環境にて本研究で製作した光ファイバ放射線位置検出器の有効性を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ガンマ線照射場を用いて各光ファイバ要素センサの検出感度・耐放射線性を評価した。その結果、過去にも使用実績があるプラスチックシンチレーションファイバが検出感度・耐放射線性・光減衰の波長依存性の観点からセンサ部として適していることを改めて確認した。さらに、当初計画していなかった1F原子炉建屋における実証試験を実施し、本研究で製作した検出器の実環境での有効性を確認できた。以上の点から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、アンフォールディングに使用する最適化アルゴリズムについて検討を加えるとともに、オフサイト環境も含めた実環境での実証を見据えて検出器の製作及び実証を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、当初予定していた国際会議への参加が取りやめとなったため、その分の旅費を消耗品購入に充てたが、予定よりも安価に購入できたため次年度使用額が生じることとなった。次年度使用額は、次年度分研究費と合わせて、検出器の製作及び実証に係る費用として使用する。
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