2022 Fiscal Year Research-status Report
12世紀シチリアのノルマン聖堂建築における壁画の配置による空間構成の分析
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22K18146
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
猪股 圭佑 武庫川女子大学, 建築学部, 准教授 (00634859)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | シチリア / ノルマン / ビザンティン / 建築 / 壁画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本応募研究課題は壁画を残す12世紀シチリアのノルマン聖堂建築、すなわちカッペッラ・パラティーナ、ラ・マルトラーナ聖堂、チェファルー大聖堂、モンレアーレ大聖堂における実地調査を行って、壁画の主題及び配置による空間構成を分析し、その特徴を明らかにするものである。西ヨーロッパが建築史及び美術史の主流であると従来認識されてきたが、ビザンティンやイスラムの文化は西ヨーロッパのそれと並置されるべきもので、現代における異文化理解の視点に繋がる極めて重要な領域である。12世紀のシチリアはノルマン王国の支配下にあり、対象とする4聖堂はいずれもビザンティンとイスラムが融合したアラブ・ノルマン様式で、ビザンティンの壁画で装飾されている。ここで得られる知見はビザンティンとイスラム、西ヨーロッパという異文化共存によるデザインの重層性の解明に繋がる意義がある。 2022年度は上記4聖堂の実地調査を行った。壁画をレイアウトした断面展開図や合成写真、アクソノメトリック図、フォトスキャンソフトによる3次元モデルの作成に必要な、壁画の配置のわかる各室全体の写真と、各部分の詳細写真を、アングルおよび撮影位置を変えながら撮影した。特にフォトスキャンソフトによる3次元モデルの作成には多くの画像データを必用とするため、4聖堂合わせて約5000枚のjpeg及びrawデータ形式の写真を撮影した。さらに関連する他の12世紀シチリアのノルマン様式の聖堂建築や宮殿建築を実見し、今後の研究の発展に繋がる示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
12世紀シチリアのノルマン聖堂建築であるカッペッラ・パラティーナ、ラ・マルトラーナ聖堂、チェファルー大聖堂、モンレアーレ大聖堂においてそれぞれ実地調査を行い、壁画をレイアウトした断面展開図や合成写真、アクソノメトリック図、フォトスキャンソフトによる3次元モデルの作成に必要な、壁画の配置のわかる各室全体の写真と、各部分の詳細写真を、アングルおよび撮影位置を変えながら撮影することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
実地調査の結果を用い、聖堂内部の断面展開図、合成写真、アクソノメトリック図、さらにフォトスキャンソフトによる3次元モデルを作成する。断面展開図による壁画の主題と配置の分析、合成写真やアクソノメトリック図を用いた壁画の配置による空間構成の分析を行う。これらを3次元モデル上で確認しながら建築的空間の意味の解釈を行い、壁画の配置によってどのように神聖な宗教的空間が創造されたかを知り、空間構成の特徴を明らかにする。
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Causes of Carryover |
実地調査の旅程を効率よく計画することができ、当該助成金が生じた。これと翌年度分として請求した助成金を合わせて、次回の実地調査や研究成果の学会発表、備品の購入などを行う。
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