2023 Fiscal Year Research-status Report
12世紀シチリアのノルマン聖堂建築における壁画の配置による空間構成の分析
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22K18146
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
猪股 圭佑 武庫川女子大学, 建築学部, 准教授 (00634859)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | シチリア / ノルマン / ビザンティン / ローマ / ドーム / 壁画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本応募研究課題は壁画を残す12世紀シチリアのノルマン聖堂建築、すなわちカッペッラ・パラティーナ、ラ・マルトラーナ聖堂、チェファルー大聖堂、モンレアーレ大聖堂における実地調査を行って、壁画の主題及び配置による空間構成を分析し、その特徴を明らかにするものである。 2023年度は、12世紀シチリアの壁画が描かれたノルマン聖堂建築、すなわちカッペッラ・パラティーナ、ラ・マルトラーナ聖堂、チェファルー大聖堂、モンレアーレ大聖堂において2022年度に行った実地調査をふまえて「12世紀シチリアのノルマン聖堂建築における空間構成について」(2023年9月, 日本建築学会大会学術講演梗概集F-2, pp.201~202)として日本建築学会大会で発表した。 本発表ではカッペッラ・パラティーナ、ラ・マルトラーナ聖堂、チェファルー大聖堂、モンレアーレ大聖堂における壁画の主題及び配置による空間構成を分析し、その特徴を明らかにすることを目的として、個々の聖堂建築の分析に先立ち、これら4聖堂の建築形式や主な壁画の主題と配置などの特徴を整理した。12世紀シチリアのノルマン聖堂建築では内陣を中心とする限定された範囲に壁画が描かれているが、それはビザンティンにおける壁画の配置によって重要な教義を表現する3次元の宗教的空間というよりも、ローマにあった初期キリスト教時代以来のバシリカ式を基本としながら、ビザンティンとイスラムの要素を装飾として取り入れたノルマン王朝の権威を強調する空間といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度に行った実地調査をふまえてカッペッラ・パラティーナ、ラ・マルトラーナ聖堂、チェファルー大聖堂、モンレアーレ大聖堂における建築形式や主な壁画の主題と配置などの特徴を整理した結果を日本建築学会大会で発表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
実地調査で撮影した画像データを用い、写真測量ソフトにより聖堂内部の3次元モデルを生成する。これを編集して断面展開図、天井見上図及びアイソメトリック図を作成し、壁画の主題と配置の分析、壁画の配置による空間構成の分析を行う。これらを3次元モデル上で確認しながら建築的空間の意味の解釈を行い、壁画の配置によってどのように神聖な宗教的空間が創造されたかを知り、空間構成の特徴を明らかにする。
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Causes of Carryover |
実地調査をふまえた各聖堂における建築形式や主な壁画の主題と配置などの特徴の整理や日本建築学会大会での発表を効率よく進めることができ、当該助成金が生じた。これと翌年度分として請求した助成金を合わせて、次回の実地調査や研究成果の学会発表、備品の購入などを行う。
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