2022 Fiscal Year Research-status Report
可逆的な刺激応答性二次元・三次元足場材料を用いたヒトiPS細胞の動的制御
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22K18170
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 健太郎 京都大学, 高等研究院, 特定助教 (40827094)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 刺激応答性材料 / ヒドロゲル / 細胞培養基板 / ナノファイバー / 三次元細胞培養 / ホストゲスト分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では細胞周囲の微小環境を刺激応答性材料を用いて培養基板の弾性率を制御する事が出来る二次元・三次元の培養基板を開発し、ヒト幹細胞の分化や形態の制御を行う技術基盤の開発を行っている。
2022年度は主に二次元・三次元の刺激応答性培養基板の作製に注力し研究遂行を行った。
刺激応答性ゼラチンナノファイバーの三次元基板を開発する前段階として、硬さをダイナミックに変化させられるゼラチン材料の検討を行った。ここで、細胞外基質(ECM)のゼラチンで修飾したメタクリル酸とアクリルアミドで修飾したホストゲスト分子、βシクロデキストリンとアダマンタンを重合させた刺激応答性ゼラチンゲルを開発した。このゼラチンゲルの弾性率の可変幅は2-15 kPa前後と体細胞組織と同程度の弾性率を持ち、更にゼラチン付加によってECMによる機能化を必要とせず安定して細胞を接着させることが出来る。筋芽細胞を使ってダイナミックに基板の弾性率を変調させ細胞の形態を制御した結果を纏めたものを学術雑誌 ACS Applied Polymer Material誌にて発表を行った。 更に上記の材料を発展させ電解紡糸が可能な条件の検討を行った所、硬さがダイナミックに変調可能で且つ細胞も接着可能なゼラチンナノファイバーの開発に成功した。これらの結果は2022年に学術雑誌 Polymersにて発表を行った。以上の結果より培養基板の根幹となる技術基盤の開発には成功したと言える。今後、安定して三次元培養に最適な硬さを見つける必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度にて、刺激応答性細胞培養基板を開発し技術基盤確立の目途が立った。 また、これらの結果を纏めた論文を査読付き学術雑誌に二報発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在進めている平面基板において、各弾性率におけるヒト幹細胞の遺伝子の発現状 態をRNA-seqにより網羅的に解析を行い各弾性率における遺伝子発現の特徴を調べる。 また、三次元培養基板においては技術基盤の確立により、今後はヒト幹細胞への最適化を行っていき表現型を解析する。
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Causes of Carryover |
2022年度はコロナの影響でで学会出張や研究打ち合わせなどの旅費を使う機会が無かった。
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Research Products
(3 results)