2023 Fiscal Year Annual Research Report
過飽和酸素水を用いた新規完全液体換気システムの確立:急性肺障害の治療に向けて
Project/Area Number |
22K18189
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
垣内 健太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 産総研特別研究員 (30875422)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 完全液体換気 / 肺洗浄治療 / 酸素運搬体 / 溶存酸素 / 肺疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
重度呼吸不全の新しい治療法として完全液体換気技術(肺洗浄治療法)の確立を目指している.完全液体換気は約55年間,人工有機液体を用いて研究をされてきたが,コストおよび環境問題の観点から代替液を用いたシステムが切望されている.私は,加圧条件下で酸素富化させたリン酸緩衝生理食塩水(過飽和酸素水)を用いた新しい完全液体換気システムの構築に挑戦している.これまでに,システム内の圧力損失を低減させることで,過飽和酸素水を効率よく調製部から肺へ運搬できる完全液体換気システムを構築した.モデル肺を用いたin vitro 試験にてラットの酸素消費量と同程度の酸素をモデル肺に運搬できることを確認したが,in vivo試験では気泡の1部が肺内部で蓄積・合一化することで換気障害を引き起こすことがわかった.換気が安定していれば,pO2>50 mmHg以上の酸素供給を実現できるが,液体材料のさらなる改良が必要となった.一方,並行して実施していた新規高酸素含有水の開発実験では,ある液体材料,水,酸素を混ぜることによって液中の酸素含量が>120 mg/L(目標値)以上に増加できることを確認した.本材料は,過飽和酸素水よりも完全液体換気を実現できる可能性が高い材料と考えられたため,計画の1部を変更し研究を発展させることにした.現在,新規液体材料が完全液体換気を実施するために必要な物性を有しているかを,調製条件および酸素含有量の関係から評価している.
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