2023 Fiscal Year Research-status Report
II 型子宮体癌モデル培養細胞株の創出と発癌および悪性化機序の解明
Project/Area Number |
22K18202
|
Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
齋藤 菜緒 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), 臨床研究所がん生物学部, 任期付研究員 (70931848)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | II 型子宮体癌 / モデル培養細胞株 |
Outline of Annual Research Achievements |
II型子宮体癌の代表的な組織型である漿液性癌とその初期病変において、高頻度に認められる遺伝子変異が複数確認されているが、難治性希少癌であることから基礎研究に使える培養細胞株や動物モデルがないため、それらの発癌およびその悪性化に寄与する分子遺伝学的異常は十分には特徴づけられていない。そこで申請者は、マウス正常子宮内膜の上皮細胞をベースに複数の点変異導入を組み合わせて行うことによって、腫瘍形成初期段階における病態形成過程を再現するII型子宮体癌モデル培養細胞株の作成し、発癌および悪性化における遺伝子異常の関連性とその分子機序を明らかにすることを目的としている。 これまで申請者は、マウス子宮内膜上皮細胞の培養条件および遺伝子導入の条件検討を実施してきた。摘出した組織から物理的にシート状の上皮細胞群を採取し、マトリゲルやコラーゲンを足場に用いて複数回の継代培養をすることができたが、細胞に対する遺伝子導入のダメージが大きく、十分な細胞生存率と遺伝子導入効率を得ることができなかった。そこで培養条件を見直し、マトリゲルやコラーゲンの代わりに脱細胞化組織を足場として検討することにした。脱細胞化組織は、生体組織から細胞成分を除去した三次元構造を有する細胞外マトリックスであり、脱細胞化組織に細胞を移植すると細胞が浸潤して組織を再構築させる。申請者は、マウス子宮を界面活性剤処理により化学的に脱細胞化し、内腔側からヒト子宮内膜癌細胞株を移植した。移植後1ヶ月、一部組織を切除してHE染色をしたところ組織表面に単層状の細胞が確認された。また残りの組織をさらに1ヶ月培養した結果、組織内部において線状様構造に位置した細胞群が確認されたことから、脱細胞化組織を足がかりとした移植細胞の生着および増殖を確認することができた。現在、この培養方法を応用して初代子宮内膜上皮細胞の遺伝子導入や編集効率の向上を試みている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス正常子宮内膜上皮細胞を採取して初代細胞培養系を確立することができたが、得られた上皮細胞への遺伝子導入効率や点変異導入効率はまだ低く、今後複数の点変異を重複して導入するにあたって改善の余地があるため、やや遅れていると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、遺伝子導入効率の改善を行い、点変異細胞株の作成を進める。作成した細胞株の細胞形態や増殖速度、浸潤能、腫瘍形成能など生物学的特性解析を実施する。また、脱細胞化組織を用いたそれぞれ得られた情報をもとに各遺伝子の単独変異または多重変異による影響を評価し、発癌または悪性化特異的な遺伝子異常の関連性を調べる。
|
Causes of Carryover |
購入予定品の納入が年度内に間に合わず、次年度使用が必要となったため。
|
Research Products
(4 results)