2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22K18227
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂部 名奈子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (90907809)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 微粒子標識抗体染色 / 免疫組織化学 / 膜抗原 / 非特異反応 / ワンステップ法 / ツーステップ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫組織化学・酵素抗体法は診断補助として広く用いられており、細胞診でも行われている手法である。しかし、操作が煩雑で時間を要し、非特異反応や発色過程での過染色・未染色などの問題も存在する。本研究では、発色操作不要で煩雑な作業を回避した新技法「微粒子標識抗体染色」を確立することを目的とした。 これまでに、市販の細胞株を使用して2次抗体に微粒子を標識したツーステップ法で強い反応性を確認することができたが、非特異反応の問題も認められたためこの反応を除去する検討を進めてきた。微粒子標識時のバッファー、抗体濃度、保存液などを検討したが染色結果に大きな変化が認められなかった。次に、染色に用いる標本作製方法を見直した結果、非特異反応が除去された。さらに、視認性向上のために微粒子の色の検討を行った結果、赤色と青色の視認性が良好であった。このツーステップ法での染色は、1種類の抗原検出のみでなく複数種類の抗原において反応性を確認しており、異なる色の微粒子を用いることで同一標本上で複数の抗原性を観察する多重染色への応用も可能であると考えられた。 次に、ツーステップ法による迅速免疫染色への応用を検討した。1次抗体5分、2次抗体5分の計10分間の抗体反応で陽性と判定できる染色結果が得られた。簡便・迅速化を目指し試みたワンステップ法では思うような感度が得られなかったが、微粒子標識抗体を用いたツーステップ法による迅速免疫染色は術中細胞診断にも応用できる染色法であると考える。 本研究では、微粒子を用いた微粒子標識抗体の作製により、酵素抗体法では必要であった発色操作のいらない簡便で汎用性の高い免疫染色の新技法を確立し、培養細胞株において良好な染色結果を得ることができた。
|