2022 Fiscal Year Research-status Report
小児・新生児への至適投与設計を目的とした数理モデルの構築と新たな解析手法の開発
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22K18232
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
岡田 章 武蔵野大学, 薬学部, 助教 (50825320)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ファーマコメトリクス |
Outline of Annual Research Achievements |
腎排泄型医薬品を患児に投与する場合, 腎機能発達の過渡期であることを考慮した用量調節が重要である. 近年, 推算糸球体濾過量の推算式から薬物のクリアランス (CL) を予測し, 小児に対する用量選択を改善する方法が米国FDAより公表され, 12歳以下にはbedside- Schwartz式を用いた腎機能評価が推奨されている. 本研究では, 新生児および乳児に対する腎排泄型医薬品の適正使用への貢献を目的として, Schwartz型腎機能推算式を組み込んだVancomycin (VCM) の母集団薬物動態 (PPK) モデルについて本邦実臨床の情報に基づき検討した.なお、本検討は本学および共同研究機関の倫理委員会の承認を得て実施した。 137例の患児 (体重: 474-6116 g) より449点の血中濃度情報が得られた. 患児の血中濃度推移を最も反映する薬物動態モデルは2-compartment modelであり, 共変量として分布容積に体重を, CLに体重, 修正在胎期間およびSchwartz型腎機能推算式を導入したPPKモデルが構築された. 1歳未満の患児に対する腎機能の指標としてのbedside-Schwartz式の適用については報告が少なく, 人種や体格の違いを考慮する必要があるとの報告がなされているが, 本研究の結果から, 体重およびPMAを同時に考慮してbedside-Schwartz式を活用する方法は, 本邦の新生児等に対しても有用である可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに生後2か月未満のバンコマイシンの解析及び生後2年までのアミカシンの解析を実施してきた。これらの母集団に対する至適投与設計については現在の所順調に進展しており、原著論文を作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の所、研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での課題等はない。 生後2か月以降の新生児におけるバンコマイシンの血中濃度データをカルテから抽出する作業は終了しておらず、今後はより年齢層を広げた至適投与設計に関する検討を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
投稿予定であった論文作成に関する経費および学会出張費が次年度に移行したため。 2023年度は論文作成に加え、解析ソフトのライセンス代として使用する予定である。
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