2023 Fiscal Year Research-status Report
小児・新生児への至適投与設計を目的とした数理モデルの構築と新たな解析手法の開発
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22K18232
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
岡田 章 武蔵野大学, 薬学部, 助教 (50825320)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ファーマコメトリクス |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌感染症に対するより有効で安全な薬物治療のためには血中薬物濃度測定に基づく治療薬物モニタリング(TDM) の実施が推奨されている. しかし, 小児・新生児領域においては血中薬物濃度が得にくいなど情報の制限が多く, TDMに必要な数理モデルの構築が困難であるため, 用法・用量最適化の検討は不十分である. 本研究では, 新たな数理モデルの構築方法およびモデル構造を創案すると共に, 医療現場にて収集された情報より, 構築した数理モデルの評価および精緻化を行うことで用法・用量の最適化を図り, 本邦の実臨床を反映した医薬品適正使用に資するエビデンスの構築を目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに, 2014年4月-2020年3月に国立成育医療研究センターにてVCMが投与された3歳未満の患児を対象とし, 電子診療録より血中濃度, 修正在胎期間 (PMA), 血清クレアチニン (SCr) 等を抽出した. また, これらの情報の内、腎排泄型医薬品であるバンコマイシンは719例の患児より3468点の血中濃度情報が, アミカシンは20例の患児より66点の血中薬物濃度データが得られた. これらの情報を基に, それぞれの血中薬物濃度推移を示す母集団薬物動態モデルを構築し、至適投与設計に有用なノモグラムを作成した. なお, 本研究は関連施設の倫理委員会の承認を得て実施した. 現在, アミカシンの母集団薬物動態解析の結果については論文投稿段階であり, またバンコマイシンを用いた解析結果は論文投稿準備中である.
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Strategy for Future Research Activity |
現在の所、研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での課題等はない. 腎排泄型医薬品を小児に投与する場合, 腎機能発達の過渡期であることを考慮した用量調節が重要である. 近年, 米国FDAでは小児の腎機能推定方法として, 腎排泄型薬物のクリアランス (CL) を活用することを提案している. Vancomycin (VCM) の腎排泄率は90%を超えているため, VCMのCLは小児の腎機能推定に活用できると考えられる. 小児に対する母集団薬物動態 (PPK) モデルを構築する際, CLに影響を与える要因として腎機能に加えて体格および成熟過程を考慮することが推奨されている. 本研究では, 日本の3歳未満の小児に対する腎排泄型医薬品の適正使用への貢献を目的として, VCM CLを用いた腎機能推算式を構築し, 腎機能を考慮したVCMの投与量について検討する.
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Causes of Carryover |
投稿予定であった論文作成に関する経費および学会出張費が次年度に移行したため。 2024年度は論文作成に加え、解析ソフトのライセンス代として使用する予定である。
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