2022 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム編集細胞におけるオフターゲット変異の高感度検出法ClAmp-seqの確立
Project/Area Number |
22K18235
|
Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
山下 拓真 国立医薬品食品衛生研究所, 遺伝子医薬部, 研究員 (10866528)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ゲノム編集 / オフターゲット変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、CRISPR-Cas9などのゲノム編集技術によってゲノムDNAの配列を自由に変更することで、あらゆる遺伝性疾患の治療が可能になることが期待されている。しかしながら、標的配列と類似した配列を持つ部位で変異が起こるオフターゲット変異によるがん化等の有害事象が懸念されており、オフターゲット変異の予測・評価がゲノム編集を用いた遺伝子治療の安全性確保のために重要である。 オフターゲット変異の評価は一般的に、標的配列と相同性の高いオフターゲット変異候補部位について、実際に細胞に作用させた際にそれらの部位に変異が起こっているかどうかを、当該部位を増幅して次世代シークエンシングを行う方法 (Amplicon-seq) により検出することで行われている。しかしながら、この方法による変異の検出感度は0.1%程度であり、より高感度な変異検出法の開発が望まれている。そこで本研究では、変異のない配列の増幅を選択的に阻害する修飾オリゴDNA(クランプDNA)を用いてAmplicon-seqを行う高感度検出法ClAmp-seq法を確立する。 本年度は、変異のない配列の増幅を選択的に阻害するクランプDNAの設計について検討した。導入する修飾核酸の位置、数を変化させたクランプDNAを複数設計し、モデルDNAと、そこから1塩基欠失したDNA(CRISPR-Cas9により最も起こりやすい変異である欠失のうち、最も変異のない配列との区別がつけにくい)に対する増幅抑制効果の違いを定量的PCR法により検討した。その結果、修飾核酸の位置及び数に応じた増幅抑制効果の違いが観察され、1塩基の欠失を見分けることのできるクランプDNAを取得することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては、最適なクランプDNAの設計法について検討したのち、これを用いた変異の検出感度について検討を行う予定である。 本年度においてクランプDNAの設計に関する検討が完了しており、来年度検出感度の検討を行う準備が整っていることから、おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、設計したクランプDNAと、モデルDNA及びゲノム編集細胞から抽出したゲノムDNAを用いて、変異の検出感度を検討する。
|
Causes of Carryover |
本年度必要となる物品を購入した結果、次年度使用額が生じた。 来年度には次世代シークエンス等比較的費用のかかる実験予定があり、これらの実験費用として使用する予定である。
|