2022 Fiscal Year Research-status Report
気圧変化に伴う自律神経の応答と気分の揺らぎに関する認知神経科学研究
Project/Area Number |
22K18264
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
梅田 聡 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (90317272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三村 將 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00190728)
朝比奈 正人 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40301098)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 気圧変化 / 自律神経応答 / 気分のゆらぎ / 内受容感覚 / 身体症状症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,我が国において相当数に及ぶ気分障害における気分のゆらぎの原因について,環境要因と心理要因の効果を統合的に分析することを目的としている.気分の揺らぎはさまざまな原因によって起こるため,個人に合わせた薬物療法や心理療法が施されているのが現状である.しかしながら,そのような療法では症状の改善が見られない「ノンリスポンダー」が多く存在するのが現状であり,これまで分析対象とされていない要因が大きく関わっている可能性を検討する必要がある.そこで本研究では,気圧の変化およびそれに対する内受容感覚に着目している.これまで研究代表者は「心ー脳ー身体」の三者関係を重視した研究を実施し,心拍や呼吸などの自律神経活動の知覚特性である内受容感覚には個人差があり,それが主観的な感情と深い関係にあることを示してきた.しかし,その自律神経活動の応答性に揺らぎを生じさせる要因については謎のままであった.気分障害,痛みを訴える頭痛患者および身体症状症の各症例を細かく分析すると,低気圧時などに気圧の変化が大きな影響を及ぼす可能性が見えてきた.そこで本研究では,気圧の変化を正確に捉え,それに対する自律神経反応および内受容感覚を含む心理的感覚との関係性について細かく分析するため,生理・行動実験およびMRI実験を実施し,「心ー脳ー身体ー環境」の四者の関係性解明を目的とした実験を行っている.本年度は,人々が感じられない気圧の変化に対する予測的反応性に着目し,自律神経の反応性を徹底的に分析した.その結果,大別して3つのパターンの反応性に分けられることがわかり,そのグループをもとに,心理的状態とどのような関連があるかを調べ,多くの新しい事実が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気圧変化を起こすカプセルに微気圧変動計を設置する時点で,少し滞りが見られたものの,遅れは回復し,現在は概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
仮説を支持するデータが複数得られており,次年度も継続して実験を実施する予定である.今後,各課題のデータ解析および課題間の統合的なデータ解析を進める.また,健常者に加え,患者群のデータを増やすことを目指し,臨床応用を可能にするための成果取得に向けて,発展的に研究を進める予定である.
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Causes of Carryover |
微気圧計の納品に時間がかかったため,大規模実験の進行を次年度に回し,長時間かかる気圧計測関連のデータ解析を先に行ったことが理由である.次年度は,当初予定していた実験を実施する予定である.
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