2023 Fiscal Year Research-status Report
Revealing mysteries of the Universe with atomically-thin graphene X-ray filters
Project/Area Number |
22K18274
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三石 郁之 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (90725863)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
Keywords | グラフェン / 自立膜 / 宇宙 / 超高圧電子顕微鏡 / 試料支持材 / 金属ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、【紫外線】【X 線】【超薄膜グラフェン】【機械強度】というキーワードに着目した、汎用フィルターの設計・製作・評価という共通基盤技術の確立・実証までを世界に先駆け完遂し、宇宙・地上機器への搭載を通し、地球・宇宙物理学から医学・生物・化学・分析科学分野等を含めた様々な学術領域における研究課題への取り組みに貢献することである。 本年度は、(1) 高感度素子の実現に向けた大口径自立膜の製作、(2) 超高圧電子顕微鏡用の試料支持材への実装、に成功した。(1) については、自立膜製作工程の条件だしを行い、独自の製作工程を構築することで 2 層グラフェンにて直径 800 um の大口径自立膜の実現に成功した。この製作工程の一部は特許として出願した (特願2023-88993 三石他)。(2) については、名古屋大学が保有する超高圧電子顕微鏡施設と協力し、我々が自作した 2 層グラフェン自立膜 (厚み 0.6 nm) を試料支持材として実装することを試みた。まず我々は所有するスパッタ装置にてプラチナおよび銅をグラフェン支持膜および既存の支持膜 (厚み 10-20 nm 程度) 上に成膜した。このとき、成膜時間等を変えることにより複数の厚みパターンの試料を準備し、観察を行った。結果、非常に薄く小さなナノ微粒子に対し、その透過画像のコントラストが大きく向上していることが確認できた。これにより、地上装置への実装応用例として期待される効果を確認することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度も順調に基礎開発を進め、成果をあげている。本年度も引き続き宇宙・地上機器への搭載に向けた高感度素子の実現に向けた条件だしが進み、さらなる大口径化に成功した。またその一部は特許出願がなされた。また特筆すべきは、地上装置への実装例として超高圧電子顕微鏡用試料支持材への応用を試みた点である。我々はグラフェン支持材の製作のみならず、その有用性を調べるため、我々自身でプラチナ・銅ターゲットを用いて様々な条件にて成膜し、厚みの異なる既存の支持材を用いた場合の透過画像のコントラストを比較した。結果、非常に薄く小さな金属ナノ微粒子に対し高コントラスト化を確認することができ、地上装置への実装に向けた大きな一歩となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
宇宙・地上機器への搭載検討を引き続き進める。まず、両者の共通基盤技術とも言える、大口径自立膜サンプルの実現に向けた条件だしを進め、直径 1 mm 超えのサンプル製作を目指す。新たなノウハウが得られた場合、特許化を検討する。また宇宙応用では、より実践的な自立膜構造に対する高速原子状酸素照射試験を実施し、各照射量についての歩留まりを評価する。加えて、静加圧試験による実際の耐圧性の口径サイズ依存性についても定量的に調査していく。地上機器への実装に向けては、金属ナノ粒子に対する有用性を確認することができたため、有機・無機物質に対しても同様に調査していく。
|
Causes of Carryover |
人件費の一部を相補的な別予算で対応することができたため。
|
-
[Presentation] グラフェン超薄膜を用いた 高機能汎用型光学素子の開発 (2)2023
Author(s)
多胡諒弥, 三石郁之, 柏倉一斗, 丹羽由実, 小川ともよ, 廣田翠, 田原譲, 大町遼, 北浦良, 河原憲治, 吾郷浩樹, 野本憲太郎, 清水貞行, 鶴岡和之, 田川雅人
Organizer
日本天文学会2023年秋季年会
-
-
-