2022 Fiscal Year Research-status Report
超高秩序分子骨格系を用いた新世代の全固体電池創出と新融合領域創成
Project/Area Number |
22K18286
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村上 陽一 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (80526442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄子 良晃 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (40525573)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2027-03-31
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Keywords | 分子熱工学 / ナノ孔内の輸送現象 / 共有結合性有機骨格 / 二次電池 / イオン輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンニュートラル社会,超スマートエネルギー社会の実現のため,高性能かつ高信頼な新世代二次電池の創出が望まれている.一方,近年の化学分野における展開として,共有結合性有機骨格 (Covalent Organic Framework, COF)というナノスケールの周期構造と多孔性をもつ固体系が,多くのユニークな特長と多彩な応用可能性により注目を集めている.本研究は,未だ存在せず,高性能が期待できる超高秩序な分子骨格をもつ3次元COFを用いた新世代の全固体電池の創出に挑戦する.具体的に,本研究は以下2点を目的とする.(i) 超高秩序分子骨格系を用いた新世代の全固体電池創出を創出し,社会と産業の発展に貢献すること.(ii) 学術が未形成な超高秩序分子骨格系におけるイオン輸送の学理を開拓・究明し,分子熱流体工学と化学との新たな融合領域を創成すること.
本年度6月末に採択通知,7月より研究期間開始となった.大学院生一名を本課題にアサインし,とともに本課題の立ち上げを行った.本年度の実績概要は以下の通り. まず,Liイオンの良好な拡散特性(具体的には高いイオン伝導度および輸率)を発揮しうるCOF骨格の化学的特定について文献調査を詳しく行い,議論を重ね,検討を行った.幾通りかの候補の方法論の検討から,イオン性骨格をもつ新規COFを創製する方針を固めた.この方法論に添うビルディングブロック分子(COFの原料分子)の候補を絞り込み,複数種類の分子を入手し,実験を開始した.COF合成は溶液法で行われるため,様々な有機溶媒への溶解度をテストした.COF成長に望ましい溶解度を達成される溶媒が見いだされ,COF合成条件探索の開始した.
研究遂行の環境面では,イオン伝導度計測に必要となる充放電評価装置(バッテリーシミュレーター)を導入し,その操作法を修得した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題に大学院生1名をアサインし,文献調査から具体的な方針も策定でき,実験においてはCOFの生成条件探索を開始できている.まだ望ましいCOF生成には至っていないが,本年度は課題の立ち上げ年度としておおむね順調に推移している.なお,研究の状況から,本年度最初の交付申請書に記載したマニュアルプローバーは今年度中での導入は必須でないと判断し,これは来年度以降に先送りした.
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Strategy for Future Research Activity |
イオン性骨格をもつCOF創製のためのビルディングブロック分子(原料分子)は一般的な有機溶媒への溶解度が低い(したがってCOF成長に好ましくない)問題に直面している.しかし,ある分類の溶媒には高い溶解度を示しており,それを足掛かりに合成を進めてゆく.また,研究分担者との議論を加速させ,問題を克服した好適なビルディングブロック分子の設計検討を引き続き進めてゆく.
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Causes of Carryover |
前記のように,研究の状況から,本年度最初の交付申請書に記載したマニュアルプローバーは今年度中での導入は必須でないと判断し,これは来年度以降に先送りしたため.
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