2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K18295
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山田 智明 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (80509349)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 強誘電体 / 分極 / スキルミオン |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、トポロジカル絶縁体や磁気スキルミオンといった、トポロジーに守られた物質の創製と物性に大きな注目が集まっている。これらは電子や磁気に関するものだが、同じアナロジーが適用され得る分極については、ほとんど開拓されていない。そこで、本研究では、常誘電体に挟まれた強誘電体超薄膜に発現する微小な渦状分極に着目し、分極スキルミオンの創製とその駆動制御を目指す。具体的には、強誘電体超薄膜の電気的・機械的境界条件の制御による分極スキルミオンの形成と、電場が分極スキルミオンに与える影響の解明、およびそれを用いた駆動制御に取り組む。 R4年度は、強誘電体超薄膜における電気的・機械的境界条件の操作による分極スキルミオンの形成と、電場が分極スキルミオンに与える影響の解明に取り組んだ。パルスレーザー堆積法を用いて、DyScO3基板上にSrRuO3下部電極層を堆積し、その上に、強誘電体として(Pb,Sr)TiO3、常誘電体としてSrTiO3を用いた超格子薄膜を作製し、各層の厚み・組成の制御によって、分極スキルミオンを有する薄膜の作製条件を明らかにした。得られた薄膜は、分極スキルミオンが広い範囲で形成されており、電子顕微鏡に加え、X線回折および圧電応答顕微鏡でも観測可能であることがわかった。また、電場下X線回折によって、スキルミオン領域における渦状分極の周期性が、可逆的かつ高速(50μ秒以内)に変化することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、R4年度は分極スキルミオンの形成に取り組んだほか、電場が分極スキルミオンに与える影響の解明を進めた。概ね計画通り、順調に進展している状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
R5年度は、引き続き分極スキルミオンの形成に取り組み、より少ない層数でスキルミオンが生成できる条件を探る予定である。また、圧電応答顕微鏡を用いた電場印加により、スキルミオンの駆動制御に取り掛かる予定である。
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Research Products
(6 results)