2022 Fiscal Year Research-status Report
Leading research on the effects of forest-derived organic compounds on aquatic ecosystems
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22K18349
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
潮 秀樹 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (50251682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小南 友里 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (30803572)
五十嵐 圭日子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (80345181)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | ヒドロキシフェニル成分 / リグニン / ゼブラフィッシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
森林圏から水圏に供給されるヒドロキシフェニル成分としてヒドロキシ桂皮酸を含有する飼料を作製し,ゼブラフィッシュに投与する試験とヒドロキシ桂皮酸を分散させた水中でゼブラフィッシュを飼育する試験を実施し,体重・体調測定,CTスキャン,白色筋横断面面積測定,遺伝子発現解析などを実施した. いずれの試験区においても,ヒドロキシ桂皮酸区で1カ月の試験期間で有意な体重の増加,体長の伸長,白色骨格筋横断面面積の増大が認められ,ヒドロキシ桂皮酸が骨格筋の増大に効果を示すことが明らかとなった. 遺伝子発現では,ヒドロキシ桂皮酸区のmyod1, myogenin, igf1, acta, myhz1.2, tpma, tnni2aで有意な発現上昇が認められ,インスリン様増殖因子の発現が誘導され,MyoDやmyogeninなどの骨格筋分化誘導因子が活性化することでミオシン重鎖,アクチン,トロポミオシンやトロポニンなどの筋原線維タンパク質の産生増大が起こるものと推定された.以上のことから,森林圏はヒドロキシ桂皮酸のようなヒドロキシフェニル成分を水圏に供給し,生息する魚類等の成長や筋増強に影響を及ぼしているものと推定された. 現在,異なる生態系を有する森林圏から生じる水系の採水を順次行っており,含まれるヒドロキシフェニル成分の分析を進めている. また,インスリン様増殖因子IGF1およびIGF2の下流に存在するタンパク質リン酸化などによる情報伝達系の活性化状況についても解析を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
体重・体長および筋横断面測定の結果から,ヒドロキシ桂皮酸がゼブラフィッシュの骨格筋の増大に効果を示すことが明らかとなった.また,ヒドロキシ桂皮酸区のmyod1, myogenin, igf1, acta, myhz1.2, tpma, tnni2aで有意な発現上昇が認められ,MyoDやmyogeninなどの骨格筋分化誘導因子が活性化することでミオシン重鎖,アクチン,トロポミオシンやトロポニンなどの筋原線維タンパク質の産生増大が起こるものと推定された.以上のことから,森林圏はヒドロキシ桂皮酸のようなヒドロキシフェニル成分を水圏に供給し,生息する魚類等の成長や筋増強に影響を及ぼしているものと推定された.
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Strategy for Future Research Activity |
異なる生態系を有する森林圏から生じる水系の採水を順次行っており,含まれるヒドロキシフェニル成分の分析を進める.得られた成分について,昨年度同様に飼育試験を実施し,遺伝子発現などに及ぼす影響を明らかにする.IGF1の下流に存在する情報伝達系の活性化状況についても解析を進める予定である.また,培養細胞を用いた簡易な確認法も立ち上げる予定である.さらに,各ヒドロキシフェニル成分が魚類腸内フローラに及ぼす影響についても検討を加える予定である.
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Causes of Carryover |
研究補助のための人件費を計上していたが,当該の研究を実施するに足る能力を有する者が見つからず,当該助成金が生じた.現時点で候補者が決定しており,翌年度分と合わせて支払う予定.
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