2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of made-to-order sugar-chain-sensing-system
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22K18350
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
長崎 慶三 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (00222175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 広道 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (20437734)
花崎 和弘 高知大学, 医学部附属病院, 特任教授 (30240790)
高橋 迪子 高知大学, 医学部, 特任助教 (40868189)
和田 啓 宮崎大学, 医学部, 教授 (80379304)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | ウイルス / 反復配列 / 糖鎖認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はウイルスが持つ高度アミノ酸反復領域が糖鎖構造の認識に関与している可能性に着目した。これまでに高度アミノ酸反復領域が発見されているのは、微細藻類を宿主とするクロレラウイルスおよびヘテロシグマウイルスのみであった。そこで今年度は、Virus-Host DB (Mihara et al. 2016)に格納されている真核微生物を宿主とする二本鎖DNAウイルスの塩基配列を対象にTandem Repeat Finderを用いて高度反復配列の探索を行った。その結果、1,255株の既知ウイルスから、1 kb以上の長さを持った反復配列を500以上抽出することに成功した。これらの中には、ヘテロシグマ感染ウイルスHaVだけでなく、エミリアニアやオステロコッカス、クロレラなどの他種の藻類感染ウイルス由来の配列や、アメーバ感染性巨大ウイルス由来の配列が含まれていた。本工程により抽出された遺伝子領域は、糖鎖認識分子の基本構造をコードしている可能性が考えられることから、本研究の目的である糖鎖に対して特異的な認識機構を与える分子設計プラットフォームの構築に有用であると思われる。とくに真核微生物を宿主とするウイルスが多く抽出されたことは、水圏環境中でのウイルスの感染戦略と大きくかかわっている可能性を示唆するものである。 また、高度アミノ酸反復領域がみられたのは二本鎖DNAウイルスにほぼ限定されたことから、こうしたタンパク質構造を用いて宿主認識を果たす進化をしてきたウイルスは限られると考えられる。このような観点から本研究は、ウイルスの感染戦略進化という側面にも新たな知見をもたらすものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膨大量のウイルスデータベースから糖鎖認識モチーフをコードする遺伝子領域を探索するための技法が有効であることが確認された。したがって、今後の糖鎖認識モチーフ探索について目算が立ったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
多様な海水・淡水試料のウイルス画分からDNAを抽出し、ナノポアシーケンスによりメタゲノムデータを得る。これに対し、今年度開発した手法で糖鎖認識モチーフ探索を行う。
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Causes of Carryover |
研究推進のための情報収集に予定以上の費用が必要となったため。
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