2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of intracellular force sensors and actuators for organelle research
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22K18362
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
島本 勇太 国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 准教授 (80409656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩城 光宏 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 客員研究員 (30432503)
宮本 圭 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (40740684)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | オルガネラ物性 / 核 / クロマチン動態 / 細胞骨格 / 初期胚発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
核などの細胞内構造と周囲の細胞質が持つ物性と力場を高精度で計測・操作可能な技術の開発とそれに基づく新たな生物メカニズムの発見を目標に、当該年度では特に以下の研究項目に重点を置いて研究を行った。 1)オルガネラ動態の可視検出技術の開発:研究は当初の予定に従って初期胚の核を対象に行った。胚の生化学操作と生細胞観察が可能な顕微鏡システムを構築し、核膜の変形、核膜構造の組成変化、内部クロマチン動態等を構成因子への蛍光標識や不活性型Cas9を使って高い時空間精度で数値化できる手法を確立した。またナノサイズの蛍光性粒子を胚に導入し、細胞質の物性と発生ステージ依存性の定量決定を達成した。 2)オルガネラ物性計測・操作技術の開発:核の物性を生細胞内で計測可能なキャピラリー型探針にもとづく技術を2種類開発した。それぞれの方法が相補的に機能して核の局所物性と大局的な物性を定量可能なことを確認し、力のパラメータ依存的に変化する核のレオロジー特性の取得を予定通り達成した。また開発した手法が非侵襲であることを胚の発生率を指標に実証した。さらに核の物性操作について、核内で重合する骨格構造の動態制御経路に介入可能な手法を確立し、発生の特定の時期における核の硬さと可塑性の操作を予定に先だって実現した。 3)初期胚の核物性と生理機能の関係性の解析:開発した上記技術を使って、初期胚における核の物性、核膜組成、核内クロマチン動態、発生能等を網羅的に解析した。その結果、核の構造・物性変化を起点とした新規の発生プログラムを同定した。この成果をプレプリント論文としてまとめ、発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
次年度までの目標であった生細胞内における核オルガネラの物性解析技術を確立し、その非侵襲性についても実証することができたため。また開発した技術を使って胚発生における核物性の未報告の動態を予想外に発見し、その制御機構の一端を同定することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、1)核動態の可視化技術の開発、2)核物性の計測・操作技術の開発、3)胚発生における核物性と核構造の生理機能の探索、のそれぞれについて研究を継続する。1)については、当該年度に確立した手法に加えて、特定の遺伝子座の核内座標と時間的な変動の可視化追跡技術の開発など、さらに高精度で核内ゲノムの動態解析を行えるよう精錬を行う。また内在性核因子の蛍光標識法についても引き続き改良を進める。2)の物性計測と操作の技術開発については、蛍光粒子を使って細胞質で確立した計測手法のオルガネラへの応用と、核骨格の操作をさらに高い時空間精度で行うことを可能とする方法論の探索を行う。3)のオルガネラ物性が持つ生理機能については、発生過程への影響、クロマチンと核骨格の相互作用への影響、転写活性との関係等に解析対象を広げ、より詳細で包括的な分子機序の同定を進める。
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Causes of Carryover |
予定していた実験が当初計画より円滑に進み、消耗品費や人件費を節約できた。差額予算分は主に次年度で行う研究に必要な消耗品の購入と研究の加速的推進のための人件費に充てる。
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