2023 Fiscal Year Research-status Report
哺乳類の多細胞組織や器官をex vivoで生きたまま解析可能な透明化法の開発
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22K18373
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲垣 成矩 九州大学, 医学研究院, 助教 (30827952)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 組織透明化法 / 蛍光イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の実験により、生きた細胞を非侵襲的に透明化(ライブ透明化)可能な試薬Xの同定に成功した。当該年度では、この試薬Xを用いた応用実験を行った。 1. 試薬Xを溶解した培地の調整:試薬Xによるライブ透明化に最適な屈折率を決定した。また試薬Xを溶解した培地を等張にするために必要な元の培地の希釈率を決定した。また細胞の機能に干渉しないためのイオン組成を決定した。この試薬Xによる調整培地をSeeDB-Liveと命名した。 2. ex vivo組織における深部イメージング:SeeDB-Liveで透明化した培養細胞スフェロイドと急性脳スライスにおいて、蛍光イメージングを行ったところ、イメージング深度が二倍ほど向上することが分かった。また急性脳スライスにおいて、神経細胞の自発発火をカルシウムイメージングにより計測したところ、透明化前後で自発発火の振幅と振動数に違いは見られなかった。このことから、SeeDB-Liveは生きたex vivo組織を非侵襲的に透明化できることが分かった。 3. 動物個体における深部イメージング:麻酔下マウスの脳に蛍光標識したSeeDB-Liveを浸透させた後、凍結切片を作製し、SeeDB-Liveの浸透度を評価した。その結果、脳表から800 umにわたり、濃度勾配がありながらもSeeDB-Liveが浸透していることが確認できた。そこで次に、麻酔下マウスの脳にSeeDB-Liveを浸透させ、第五層錐体細胞の蛍光を観察した。その結果、第五層錐体細胞の樹状突起や、脳表から700-800 umに位置する細胞体を高いSNで観察することができた。このことから、SeeDB-Liveは生きた動物個体の組織を透明化できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ライブ透明化の利点を、様々な種類の標本で示すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ライブ透明化により、組織深部で膜電位イメージングが可能になるか検討する。またオルガノイドにおける深部観察が可能になるか検討する。
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Causes of Carryover |
経費削減に努めたため。
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Research Products
(3 results)