2023 Fiscal Year Research-status Report
Exploration of analgesic drug based on the underlying mechanism of circadian variation in the cancer breakthrough pain
Project/Area Number |
22K18375
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小柳 悟 九州大学, 薬学研究院, 教授 (60330932)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
Keywords | がん性疼痛 / 概日リズム / 短鎖ペプチド / 時計遺伝子 / 鎮痛標的 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんによる疼痛には持続的に続く「慢性痛」と、突然の激しい痛みに襲われる「突発痛」が認められるが、がん末期に発症する突発痛に対してはオピオイドなど も奏功し難いことから、より有効な鎮痛薬の開発が求められている。がんによる疼痛は一日の中の特定の時間帯に頻発することから、我々はこの点に着目して探索を行い、疼痛が頻発する時間帯に脊髄内で発現が上昇する短鎖ペプチド(CEPF)を見出していた。 昨年度までの検討において、これら短鎖ペプチドの役割と鎮痛標的分子としての妥当性の確認を完了していた。本年度はCEPFによるがん性疼痛の概日リズム制御機構の解析と本因子の発現または機能を抑制できる化合物の同定について検討を行った。その結果、CEPFの発現は担がんモデルマウスの脊髄ミクログリア内において概日リズムを示し、その変動は時計遺伝子によって制御されていることが明らかになった。また、CEPFの発現を抑制的に制御する時計遺伝子について、その抑制機能を刺激する低分子化合物を同定し、本化合物はCEPFの発現低下を介したがん性疼痛の緩和作用を示すことが明らかになった。 これらの結果から、脊髄ミクログリア内の時計遺伝子を標的として、がん性疼痛に対する緩和薬を創成できる可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験結果として一部予想外の結果が得られたことにより新たな課題が見出されたが、当初の目的どおりにがん性疼痛の概日リズム制御機構の解明と鎮痛候補化合物の同定には成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
がん性疼痛の発症には概日リズムが認められることから、次年度以降は同定した化合物の最も効果的な投薬タイミングについて検討を行う。
|
Causes of Carryover |
当初の予定より少数の動物実験において目的を達成することができた。一方で、がん性疼痛に関する検討を雄動物だけではなく、雌動物も用いて行う必要性が生じた。そのため、翌年分として請求した助成金と合わせて本年度に上記の検証実験を行うことにした。
|