2023 Fiscal Year Research-status Report
コロナ禍後の持続可能社会の探索:仮想社会空間を用いた厚生政策分析フレームの構築
Project/Area Number |
22K18404
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 英樹 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50317682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松倉 力也 日本大学, 経済学部, 教授 (00409145)
臼井 恵美子 一橋大学, 経済研究所, 教授 (50467263)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 人的資本形成 / ミクロシミュレーション / 政策評価手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請事業ではコロナ禍前後で社会パネル調査を実施し、婚姻・妊娠出産・就労・居住地選択など子育て世代における人的資本形成の意思決定過程を分析したのち、それら人的資本形成の時空間的分布をミクロシミュレータ上に再現し、多極集中型持続可能社会に向けた厚生施策の効果推計を行う新たな分析フレームを提示することを目的とした。2年目となる2023年度は、初年度で実施予定だった社会調査を早期実施する予定としていたが、家庭庁を中心とした子育て・子ども関連施策の発表が相次ぎ、外的条件が大きく変動したことから、当初仮説として用意したコロナ禍前後での就労・経済環境の変化に加えて外生要因の影響を考慮することが必要となり、社会調査の実施を延期し、議論途中であった公的子育て支援保険などの議論が落ち着くのを静観しつつ、仮説の再設定を行うこととした。また居住地移動について修正重力モデルによる居住地移動推計モデルの作成に必要な社会移動調査個票の取得に予想以上の時間がかかり、本年度事業として実施が困難となったため、理論的検討を加えて待機した。国勢調査2020の数値の妥当性を検証すべく、2010の公表データと、利用申請に基づき取得した人口動態統計死亡個票のデータを用いたextinct cohort methodによる人口推計を先行して実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度中に実施予定だった第3回質問票調査の企画中、家庭庁を中心とした子育て・子ども関連政策に大きな動きがあり、外的因子が強い中で、コロナ禍前後の出生意欲の測定を行うことは、判別性を欠いた解釈困難な結果しか得られないこととなると判断され、新規政策の動きを踏まえた仮説変更が必要となったため。また人口移動のモデル作成に必要な社会保障人口問題研究所所管の人口移動調査個票の利用申請を行ったが半年以上の申請手続きが必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
子ども関連政策の全貌が見えてきたことから、子ども関連施策による期待形成を含めて、出生意欲への影響を考慮することとし、2025年度早期に質問票調査を実施することで、当初予定には含まれていなかった、リアルワールドでの政策変化の影響を検討することとなる。人口移動調査個票は2024年3月にようやく個票取得ができたことから、モデル作成を鋭意進めている。
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Causes of Carryover |
2022年度初年度実施予定だった社会調査がコロナ禍の影響が残るなか2023年度実施に延期したところ、子ども関連・子育て支援施策の方針が相次いで発表され、施策の内容が確定するまでは、外生要因の影響を考慮したうえで、出生意欲・就労意欲の変化を判別するモデリング・質問票作成が困難であると判断したため、やむなく2024年早期実施に向けて計画を変更した。2024年度早期に調査実施のため、経費を2024年度に繰り越した。
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